長崎大学、新型コロナウィルスの増殖を阻害する物質確認

| コメント(0)
長崎大学はサプリメントとして市販されている5-アミノレブリン酸(5-ALA)が、新型コロナウイルスの増殖を100%阻害するとの研究結果を発表した。


長崎大学と、5-アミノレブリン酸を扱っているネオファーマジャパンは、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2を用いて培養細胞における感染実験を行った結果、5-アミノレブリン酸(5-ALA)の強い感染抑制効果を発見した。

ネオファーマジャパンはアラブ首長国連邦(UAE)に本拠地を持つNeopharma LLCとneoALA㈱(旧称 コスモALA㈱)との合弁によって設立された。
2016年10月には、エーピーアイコーポレーションの袋井工場を買収し、医薬品原薬・医薬中間体製造に関する設備と能力を得た。

ネオファーマジャパンでは、5-ALAの生体内における代謝特性を利用した事業を展開している。

5-ALAのヘム代謝領域においては、医薬、健康食品、化粧品及び、動物関連事業を、
植物におけるクロロフィル代謝領域においては、肥料事業を進めている。
各事業において、研究、開発、製造、販売に関する業務を行っており、5-ALAを通じて、人々の豊かな生活に貢献するとしている。

5-アミノレブリン酸(5-ALA)は赤ワインや納豆などの発酵食品に多く含まれているほか、サプリメントとしても市販されるなど、安全性が確認されている。

本研究において、5-ALAがCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の感染を培養細胞において強力に抑制することを示した。
この抗ウイルス効果は、明らかな細胞毒性無しに、ヒト細胞と非ヒト細胞の両方で認められた。

・5-ALAは、培養細胞においてSARS-CoV-2の感染を抑制した。
・5-ALAの抗ウイルス効果は、非ヒト細胞よりもヒト細胞に対してより顕著で あった。
・5-ALAは、細胞毒性もなく濃度依存的に抗ウイルス効果を示した。

VeroE細胞を5-ALAで72時間、前処理した場合は下図の通り。SFC(クエン酸第一鉄ナトリウム)と合わせても同様の効果がでた。

Vero細胞は、アフリカミドリザルの腎臓上皮細胞に由来する、細胞培養に使われる細胞株

但し、48時間の前処理では効果なし。

本研究は2021年2月8日に国際学術誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に正式に掲載された。
   https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X2100156X

長崎大学とネオファーマジャパンは、引き続き臨床研究の実施を進める。

ーーー

別途、COVID-19患者に対する5-ALAリン酸塩とSFCを利用した治療の報告がある。

5-ALAに特化して、それを活用・応用する目的で設立されたSBIファーマ(旧称SBIアラプロモ)は1月14日に、半蔵門胃腸クリニックとともに、COVID-19患者に対する5-アミノレブリン酸リン酸塩を利用した治療に関する症例報告を作成し、査読前論文を投稿するサイト「Open Science Framework 」に掲載した。

Title: Safety, Tolerability, and Efficacy of 5-Aminolevulinic Acid Phosphate, an Inducer of Heme Oxygenase 1, in Combination with Sodium Ferrous Citrate for the Treatment of COVID-19 Patients
(COVID-19患者の治療のためのクエン酸第一鉄ナトリウムと組み合わせたヘムオキシゲナーゼ1の誘導物質である5-アミノレブリン酸リン酸塩の安全性、忍容性、および有効性)

概要は次の通り。

COVID-19患者のうち、一部の患者、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病、高血圧、心血管系の問題などの併発疾患のある患者は、パルスオキシメトリ(SpO2)による動脈血酸素飽和度の低い重度の肺炎と多臓器不全を急速に発症し、突然死に至 る。

これらの症状はすべて、全身のさまざまな臓器で発生する致命的な炎症によって引き起こされ る。
RNAウイルス感染によって引き起こされるさまざまな種類の炎症は、局所組織でのヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の誘導によって制御できることが知られており、HO-1はRNAウイルス複製を抑制するための重要な酵素でもあることが知られてい る。

したがって、肺炎ウイルス感染症の標準的な医療に加えて、非常に効果的なHO-1誘導物質である5-アミノレブリン酸リン酸塩とクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)を組み合わせてCOVID-19患者の治療を試み た。

COVID-19の典型的な症状と大量喫煙に関連するCOPDの疑いのある6人の患者に、最大耐量(MTD)のSFCを含む5-アミノレブリン酸リン酸塩を3〜7日間経口投与した後、2〜3週間、低用量で治療した。

個々の患者の回復時間は、コロナウイルス感染の標準治療のみを受けた患者について報告されたものよりも有意に短く、これらの結果は、急性期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療サプリメントとして、5-アミノレブリン酸リン酸塩とSFCの安全性、忍容性、および有効性を期待させるもので ある。

コメントする

月別 アーカイブ