出光興産、子会社東亜石油へのTOB成立せず

| コメント(0)
出光興産は2月16日、石油精製を手掛ける子会社、東亜石油に対する株式公開買い付け(TOB)が成立しなかったと発表した。

TOBに応募した株式数は約47万株で、成立の下限とした約205万株を大幅に下回った。

東亜石油は、出光興産と経営統合した旧昭和シェル石油系で、川崎市で製油所を運営している。(経緯は下記)

出光興産は2020年12月15日、子会社の東亜石油にTOBを実施すると発表した。
買い付け期間は12月16日から21年2月2日まで、買い付け価格は1株2,450円。最大約150億円を投じて、残り全株の取得、完全子会社化を目指した。

出光興産は東亜石油の株を50.12%保有している。TOBの下限は205.9万株(これにより出光興産は2/3以上を確保)とし、これ以下の場合はTOBは成立しない。

発行済み株数 12,443,500
うち自己株式 3,591 (12,439,909)
出光保有 6,234,425 50.12%
残り 6,205,484 49.88%
買付下限 2,058,875 16.55% (66.67%)

TOBが成立した場合、東亜石油は2021年4月26日に上場廃止となる。

出光興産は東亜石油を完全子会社化することで、グループの一体経営を図り、経営の効率化及び最適化、意思決定の柔軟化及び迅速化を実現し、国内石油製品需要の減少、脱炭素社会に向けた動きへ対応していくとしていた。

出光興産は2021年1月29日、東亜石油株のTOB期限を当初の2月2日から2月15日まで延長したと発表した。
東亜石油が2021年3月期業績予想の修正を発表し、買付届出書の記載を変更する必要が生じたためとしている。

出光興産の2,450円でのTOB発表直前の12月15日の東亜石油株価終値は2,229円であったが、その後、株価は上昇し、TOB価格を上回った。

米ファンドのCornwall Capital Management LP が 東亜株を買い増しており、2021年1月28日の関東財務局への届出書によると、12月11日が226万株であったのが、その後買い増しを続け、1月28日には318万株になっている。

TOB最終日の2月15日の終値は3,010円で、TOB価格をはるかに上回る。

結局、TOBに応募したのは470,668株にとどまり、下限の205.9万株には達せず、不成立となった。

出光興産ではこれを受け、TOB価格については、公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施の上、決定したとし、不成立に終わったことを踏まえて、今後は、従来と同様、グループの企業価値向上を目指すとしている。

ーーー

出光興産は2016年12月19日、公取委の承認を受け、シェルから昭和シェル株式 31.3% を158,978百万円(1株当たり1,350円)で取得した。

2016/12/20 出光興産、シェルから昭和シェル株式取得

出光興産は2018年7月10日、創業家(持株28.48%)のうちの、長男の出光正和氏(同1.16%)と同氏が社長を務める資産管理会社の日章興産(同13.04%)との間で統合等に関する合意書を締結したと発表した。

出光興産は同日、昭和シェル石油との間で、2019年4月に株式交換を通じて経営統合する合意書を締結した。

出光興産と昭和シェル石油は12月18日、それぞれ臨時株主総会を開き、経営統合について株主から承認を得た。2019年4月の統合が最終決定した。

2018/7/11 出光と昭和シェル、来年4月に統合 

各社の製油所とトッパー処理能力は下記の通り。(千bbl/d)

 

トッパー処理能力

当初 高度化法

*

昭和四日市石油 四日市 205 255 255
西部石油 山口 120 120 120
東亜石油 京浜

70

70 65
昭和シェル 扇町 120 0 0
昭和シェル合計 515 445 440
出光興産 北海道 140 160 150
千葉 220 220 190
愛知 160 175 160
徳山 120 0
出光興産 合計 640 555 500

  * 残油処理装置の装備率の改善後能力

コメントする

月別 アーカイブ