WTO事務局長に初の女性、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相

| コメント(0)

世界貿易機関(WTO)の事務局長選で最終選考に進んだ韓国の兪明希通商交渉本部長は2月5日、ソウルで記者会見し、選考を辞退する考えを表明した。

兪氏の辞退により、 3月のWTO一般理事会でナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相が次期事務局長に選出される見通しとなった。

ーーー

Roberto Azevêdo WTO事務局長は2020年5月14日、2020年8月末で退任することを発表した。

WTOは9月18日、事務局長候補者8人のうち5人を第1次として選出した。

10月には最終選考に進む候補者をナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相と韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長の2人に絞った。
選考プロセスの最終段階となる第3ラウンドは10月中に始まり、11月6日まで続く。WTOはコンセンサスに基づいて決定を下すが、全会一致での指名を目指す。

    現職・前歴 1次 2次 最終
Dr Jesús Seade Kuri Mexico 男性 外務次官、WTO事務次長      
Dr Ngozi Okonjo-Iweala Nigeria 女性 財務相、外相、世銀副総裁  
Abdel-Hamid Mamdouh Egypt 男性 弁護士、WTOサービス部長      
Tudor Ulianovschi Moldova 男性 外相、WTO大使      
Yoo Myung-hee  兪明希 Korea 女性 産業通商部通商交渉本部長  
Amina C. Mohamed Kenya 女性 スポーツ・文化相、外相    
Mohammad Maziad Al-Tuwaijri Saudi Arabia 男性 王室顧問(閣僚級)    
Dr Liam Fox UK 男性 貿易相、国防相


WTO一般理事会議長は10月28日夜、兪氏に「ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏が選好度調査で多くの得票があり、オコンジョイウェアラ氏を推戴することにした」と公式通知した。

全会一致での指名を目指すため、
事実上、兪氏に対して自主的に辞退を勧告する性格を持つ。

しかし、ナイジェリアは中国から多額の経済支援を受けており、米国は中国がWTOで発言力を強めるのを嫌い、オコンジョイウェアラ氏の就任に反対し、韓国の兪氏を支持すると表明した。

WTOは12月16~17日の一般理事会では次期事務局長選出を議題としないことを加盟国に通知し、結論は2021年に持ち越されることが確実となった。

2020/10/30 WTO次期事務局長選 内定するも米国の反対で難航

トランプ前米政権が強力に兪氏を支持(むしろ、中国との関係が深いナイジェリアのオコンジョイウェアラ氏への反対)を表明していたが、バイデン政権の発足で、韓国政府は後ろ盾を失った形となった。

兪氏は「WTOのリーダーシップの空白状態が長期化している。強固な同盟国である米国との緊密な調整と合意を経て、候補を辞退することを決めた」と説明した。

兪氏の発表を受け、米通商代表部(USTR)は、オコンジョイウェアラ元財務相を「バイデン政権が強く支持する」と表明した。

コメントする

月別 アーカイブ