中国の第13期全国人民代表大会(全人代)の第4回会議が3月5日、北京の人民大会堂で開幕した。今年、共産党創立100周年を迎え、重要な節目の年と位置づけられる中での全人代である。
昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大によって延期を余儀なくされ、5月22日に開かれた。
本年の議事は、
(1)政府活動報告の審議(2)国民経済・社会発展の第14次五カ年計画(2021-2025年)と2035年までの長期目標綱要草案の審議(3)計画報告及び草案の審議(4)予算報告及び草案の審議(5)「中華人民共和国全国人民代表大会組織法(修正法案)」の上程に関する全国人民代表大会常務委員会議案の審議(6)「中華人民共和国全国人民代表会議議事規則(修正草案)」の上程に関する全国人民代表大会常務委員会議案の審議
(7)「香港特別行政区選挙制度の整備に関する全国人民代表大会の決定(草案)」議案の審議
(8)全国人民代表大会常務委員会活動報告の審議(9)最高人民法院(裁判所)活動報告の審議(10)最高人民検察院活動報告の審議。
李克強首相は政府活動報告で、2021年の実質経済成長率目標を「6%以上」と設定した。
昨年は「歴史上極めて尋常でない1年だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の抑え込みで重要な成果をあげ、世界の主要国で唯一、プラス成長を実現した」と実績(+2.3%) を強調し、経済成長率の数値目標について、ことしは6%以上としたと明らかにした。「経済運営の回復状況を考慮したもので、持続可能で健全な発展の実現に有益だ」と説明した。
昨年は新型コロナウイルスの蔓延で、目標を発表しなかった。
国際機関などの予測は多くが8%前後としており、達成が可能な最低ラインに設定したものとみられている。
雇用については、失業率を5.5%前後にするとした。都市部の新規雇用は、昨年の900万人から引き上げ、1100万人以上とした。
昨年は失業率は6%前後とした。2019年は5.5%と設定していたが、新型コロナで失業が増えたため、雇用対策を打つものの、悪化を見込んだ。都市部の新規雇用は900万人以上とした。
景気改善を踏まえ、2021年の財政赤字はGDP比約3.2%を見込んだ。(2020年の見通しはGDP比3.6%以上)
新型コロナで打撃を受けた経済を支えるため昨年初めて発行した特別国債(1兆元)については、今年に発行する計画はないとした。
2021年の消費者物価指数(CPI)伸び率目標は約3%に設定した。昨年は3.5%前後を目標としていた。
2021年予算案では国防費を前年比6.8%増の1兆3553億元(約22兆6000億円)とした。昨年の6.6%から上回り、軍拡路線を堅持する。
経済政策の基本方針となる本年からの第14次5カ年計画(2021~2025年)と2035年までの長期目標についても説明し、「発展の質や効率の向上に力を入れ、経済の持続的で健全な発展を保つ」と述べ、成長の速度ではなく、安定的で質の高い成長を目指す姿勢を改めて強調した。
第14次5カ年計画では、海外からの投資も利用しつつ、国内の需要と供給両面を強化して国内経済の底上げを図る「双循環」という成長モデルを構築するとした。海外の制裁やサプライチェーンからの中国外しに影響されない体制を築く。
きっかけは、2020年5月14日の政治局常務会議における「市場規模が極めて大きく、今後も拡大余地が大きい我が国の内需の優位性を十分に発揮することによって、国内外の双循環が互いに促進する新発展モデルを構築する」との決定である。習近平国家主席は2020年7月、「国内大循環を主体として、国内外の双循環が互いに促進する経済の新発展モデルを目指す」と表明した。
しかし、「双循環」の具体的な説明はない。
日本総研のレポート(2020/10/28)は、「サプライチェーンの強靭化」、「消費の拡大」、「輸出の促進」の3つの狙いを持つ概念としている。
今後5年間の成長率目標は「年度ごとに打ち出す」として明示しなかった。(2020年までの5カ年計画では、5年間の成長率目標を「6.5%以上」と掲げていた 。)
中国が統制を強める香港をめぐって李首相は、「外部勢力の干渉を断固防ぐ」とし、「憲法と香港基本法の実施にかかわる制度や仕組みをより完全なものにしなければならない」と述べた。
香港の選挙制度を見直して 、出馬資格の審査制度を導入し、民主派を排除する案を決める。
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