Applied MaterialsによるKOKUSAI ELECTRICの買収、中国の承認得られず

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米半導体製造装置大手Applied Materials, Inc.は3月22日、旧日立製作所系の同業KOKUSAI ELECTRICの買収計画について、期限の3月19日までに中国の規制当局から承認を得られていないため破談になった 模様だと発表した。3月26日までに承認を確認できなければ、正式に断念し、KKRに解約手数料1億5400万ドルを支払う。

付記 3月29日、断念を発表した。

KOKUSAI ELECTRICは日立国際電気から独立し、2018年6月にKKRファンドの下で半導体製造装置メーカーとしてスタートした。バッチ式プロセス装置製造を得意としており、Applied Materialsは、同社が提供する枚葉式処理装置ラインアップを補完するものと期待していた。

中国の不承認の背後には米国と中国の半導体を巡る対立があるとみられる。

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日立製作所は、中核事業に経営資源を集中する一方、非中核事業は売却し、収益率を高める選択と集中を徹底するため、黒字の連結子会社 日立国際電気の売却を決めた。

日立国際電気は、日立グループ内で無線通信機器や放送・映像機器の製造販売を手がけていた国際電気・日立電子・八木アンテナの3社が2000年10月1日に合併して誕生した。(八木アンテナはその後、同社の100%子会社として分社化し、現在、日立国際八木ソリューションズと改称している。)

2009年には日立グループの総合力強化と日立国際電気のグローバルな事業拡大をめざし、日立が公開買付により連結子会社とした。

事業は下記の通り。

  • 映像・通信ソリューションセグメント
  • 成膜プロセスソリューションセグメント (半導体製造装置)

日立製作所は2017年4月26日、KKRの所有するHKEホールディングス合同会社及び日本産業パートナーズが出資するHVJホールディングスとの間で、下記の契約を締結した。

①HKEが日立国際電気を完全子会社とする(上場廃止)

②そのうえで、日立国際電気を分割し、
   a. 成膜プロセスソリューション事業を独立させてHKEが吸収
   b. 映像・通信ソリューション事業が残る日立国際電気に、日立製作所とHVJが各 20%の出資を行う。

2017/5/3 日立、子会社の日立国際電気を売却

KKR傘下のHKEホールディングスは2018年6月1日に成膜ソリューション事業(半導体製造装置)を独立させ、㈱KOKUSAI ELECTRICとした。

バッチプロセス装置 (高品質成膜・高性能半導体製造装置など)
枚葉プロセス装置
薄膜形成プロセス技術

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Applied Materialsは2019年7月1日、KKRが保有するKOKUSAI ELECTRICの全発行済み株式を22億ドルで取得する最終合意に達したことを発表した。

KOKUSAI ELECTRIC は生産効率の高いバッチ式プロセス装置とサービスで業界をリードしており、メモリ、ファウンドリ、ロジック分野の顧客に提供している。
世界トップレベルの成膜技術を生かした半導体製造装置を生産し、世界のトップメーカーに製品とサービスを納入し、半導体の高機能化、高性能化を支えている。
これらの装置は、Applied Materialsが提供する業界トップの枚葉式処理装置ラインアップを補完するもと期待している。

当初は1年以内の手続き完了をめざしていたが、2020年6月末までに許可が出なかったため、一旦2020年9月末まで期限を延ばした。

更に中国当局からの買収承認を得るのに時間を要しているため、2020年12月30日に延ばした。

KOKUSAI ELECTRIC 半導体製造装置の需要改善と、統合後の新会社の業績見通しを反映していると説明した。
また、

中国政府がまだゴーサインを出しておらず、最後の関門となっている。

しかし、買収完了の期限だった3月19日までに中国当局の承認が得られず「買収契約が解除された可能性がある」と発表した。
契約解除料の支払期限である3月26日までに改めて承認が確認できなければ、買収は破談となり、KKRに解約手数料1億5400万ドルを支払う。

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