中外製薬のCOVID-19治療薬候補「アクテムラ」、海外で効果確認できず 

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中外製薬は3月11日、COVID-19治療薬候補「アクテムラ」の海外での試験で、主要評価項目を達成しなかったと発表した。

中外製薬の親会社 Rocheは2020年5月28日、Gilead Sciences と共同で多施設共同無作為化二重盲検国際共同第III相臨床試験(REMDACTA試験)を開始すると発表した。

重症COVID-19肺炎による入院患者を対象に、「Actemra®remdesivirとの併用療法 」と「プラセボとremdesivirとの併用 」と比較して安全性および有効性を評価するもの。

重症の入院患者650人を対象としたこの試験で、主要評価項目(標準的な医療措置を受けている重症COVID-19肺炎による入院患者における28日時点の退院までの期間の改善)を達成しなかった。

死亡の可能性、人工呼吸器の使用または死亡まで進行する可能性、臨床状態等の主要な副次評価項目も未達であった 。

アクテムラ(トシリズマブ)は大阪大学と中外製薬が共同開発した日本発の治療薬で、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体 。関節リウマチ, 若年性特発性関節炎, 成人スチル病, 高安動脈炎・巨細胞性動脈炎, キャッスルマン病の治療に使われている。

日本では2020年5月から、新型コロナで肺炎が重症化した入院患者を対象に治験が実施されている。
中外製薬はこれらの治験結果を踏まえ、2021年中に日本で新型コロナ用として承認申請することを目指している。

欧州では中外製薬の親会社であるスイスのRocheが製造・販売している。

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Rocheは2020年7月29日、新型コロナウイルス関連肺炎による重症入院患者を対象に欧米で実施したアクテムラ(トシリズマブ)の第3相臨床試験「COVACTA」の結果について、主要評価項目を達成しなかったと発表している。

試験は、重症の新型コロナ関連肺炎による成人入院患者450例が対象で、標準治療にアクテムラを上乗せすることでの有効性・安全性を検討する目的で実施された。

主要評価項目の「4週目の臨床状態の改善」については、アクテムラ群はプラセボ群に対し、統計学的な有意差は認められなかった。

4週間後の死亡率は、アクテムラ群19.7%、プラセボ群19.4%で、有意差は認められなかった。

退院(退院待機状態を含む)までの期間はアクテムラ群20日間、プラセボ群28日間で、有意に期間を短縮した。ただ、同社は「主要評価項目は未達のため、その差について統計学的な有意性を判断することはできない」としている。

人工呼吸器未使用日数はアクテムラ群22日間、プラセボ群16.5日間で有意差は認められなかった。

4週目時点の感染症の発生率は、アクテムラ群38.3%、プラセボ群40.6%、重篤な感染症の発現率は、アクテムラ投与群で21.0%、プラセボ投与群で25.9%だった。
また、安全性について「新たなシグナルは認められなかった」としている。

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の平野俊夫理事長は2020年4月15日、北海道大学遺伝子病制御研究所の村上正晃教授と共同で、新型コロナウイルスに関する論文を発表した。

COVID-19で肺炎を起こしても軽い症状で治る場合もあるが、重篤化する人もいる。特に重症化したCOVID-19に発症する急性呼吸器不全は致死率が高い。この原因は免疫系の過剰な生体防御反応のサイトカインストームが原因であることを見付けた。

有望視されるのが、中外製薬のIL6 阻害薬「アクテムラ」トシリズマブ)で ある。

中外製薬の親会社のRocheは3月19日、米国食品医薬品局(FDA)と連携し、重症COVID-19肺炎による入院患者を対象にActemra/RoActemraの第III相臨床試験を開始すると発表した。

2020/5/6 COVID-19の致死的急性呼吸器不全症候群の原因はサイトカインストーム

英政府は2021年1月7日、関節炎治療薬の「トシリズマブ」と「サリルマブ」が新型コロナウイルス感染症の治療にも有効だと発表した。

8日から、英国全土の病院の集中治療室に入院中のコロナ患者を対象に投与する。

英政府はRocheと連携する。

コロナの治療薬としては抗炎症薬「デキサメタゾン」などに続くものとなる。

2021/1/9 英政府、「中外製薬のリウマチ治療薬が新型コロナに有効」

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