武田薬品、糖尿病治療薬事業を帝人ファーマに売却

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武田薬品工業は2月26日、糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)について、帝人ファーマに販売を移管するとともに、日本における製造販売承認及びこれに関連する資産を譲渡することを決定し、帝人及び帝人ファーマとの間で資産譲渡契約を締結した。

武田薬品は以下の戦略で事業体制の変革を実行している。

- グローバル戦略に沿って主要な5つのビジネスエリア(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー、ニューロサイエンス)にさらに注力、ターゲットを絞った革新性の高い医薬品に集中

- 「戦略投資の加速化」、「機動性のある組織の構築」、「変革を支えるための組織力の向上」を3つの柱に改革を進める

- 主要な5つのビジネスエリアに資源とリソースを集中し、患者のアンメット・メディカル・ニーズにさらに貢献

同社は、Shire買収と同時に、債務圧縮のために計100億ドル規模の資産売却方針を掲げ、武田薬品とShireのノンコア事業の売却を進めてきたが、2020年8月には「アリナミン」などの一般用医薬品事業を扱う完全子会社の武田コンシューマーヘルスケアを米投資ファンド大手 The Blackstone Groupに売却することを発表した。新社名は「アリナミン製薬」となる。

2020/8/21 武田薬品、大衆薬事業を米投資ファンドに売却へ

2019年1月以降現在まで、今回の件を含め12案件で合計最大約129億米ドルの売却について公表しており、100億米ドルの売却目標額をすでに上回っている。


今回の糖尿病治療薬は、今後も患者のニーズを満たす重要な役割を担うものの、同社の長期的成長を牽引する主要ビジネスエリアの製品には該当しないため、売却する。

譲渡の概要は下記の通り。

 譲渡品目:糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)

    国内外で多くの2型糖尿病の患者の治療使用されている。
    
2020年3月期における日本国内における売上高 308億円

 譲渡価額:1,330億円 (製品在庫の譲渡価額を含む)
       当期の株主帰属利益で約900億円の増益となる。

 譲渡相手:帝人ファーマ

 譲渡日:2021年4月1日(予定)

 その他:両社間で製造供給契約を締結し、武田薬品が製品を製造し帝人ファーマに供給、流通は武田薬品が担当。
     当面の間、製品の製造販売承認権は武田薬品が引き続き保有し、承継時期については今後決定する。
     人員の移管は伴わない。

武田薬品は得られる売却代金は負債の減額に充て、2021年度から2023年度に純有利子負債/調整後EBITDA倍率を2倍にする目標に向け、レバレッジ低下を加速させる。

一方、帝人は、企業理念「Quality of Lifeの向上」を原点に、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」のつのソリューションを中心とした価値を社会に提供し、「未来の社会を支える会社」になることを目指しており、ヘルスケア事業では、高齢化最先進国の日本において「少子高齢化・健康志向ソリューション」の提供に取り組んでいる。

「代謝・循環器領域」を注力疾患領域のつとしている帝人ファーマにおいて、ブランド力のある武田の糖尿病治療薬4剤の承継は、将来の事業拡大のための事業基盤の維持・強化を可能とするものとなる。

また、糖尿病治療剤を主要製品としてラインナップに加え、事業基盤を維持・強化することで、疾病治療への取り組みのみならず、生活習慣病予防や重症化予防に貢献するサービスの拡大を加速できるとしている。

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