ジェネリックの日医工、業務停止の行政処分

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富山市のジェネリック医薬品大手 日医工㈱は3月3日、富山県より、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づく行政処分を受けたと発表した。

内容は下記の通り。

対象 医薬品製造業(富山第一工場 医薬品製造販売業(日医工)
処分内容 医薬品製造業の業務の停止(32日間) 医薬品製造販売業の業務の停止24日間)
処分理由 品質試験不適合品を製造販売承認書と異なる製造方法で適合品となるよう処理

品質試験等における不適合の結果について、適切な措置を実施せず

医薬品製造管理者が、医薬品の適切な製造管理及び品質管理を行うよう管理監督せず

製品の適正な製造販売を行うために必要な配慮を怠り、かつ、製造販売しようとする製品の品質管理を適正に行わなかった

富山第一工場において製造販売承認書の内容と異なる方法で製造された医薬品を製造販売した

医薬品等総括製造販売責任者は、必要な品質管理業務を実施せず


付記

厚生労働省は3月24日午前、富山県などと合同で、富山第一工場に医薬品医療機器法に基づく立ち入り調査に入った。
都道府県による業務停止命令が続く中で国が立ち入り調査を行うのは極めて異例。今回、国が調査に踏み切った背景には、ジェネリック医薬品への信頼が揺らぐ中で品質管理が適切に行われているか、確認を徹底するねらいがあると見られる。


富山県によると、不正は2020年2月、PMDA(医薬品医療機器総合機構)や富山県などが同社の富山第一工場を無通告で査察したことがきっかけで発覚した。

日医工は2020年4月7日、同社が製造する12成分15品目を自主回収すると医療関係者への周知を開始した。重篤な被害は考えられないもの(クラスⅡ)としている。

回収の内訳は、
①安定性モニタリングにおいて承認規格に適合しないもの「8成分9製品」、
②出荷時の定量試験で実態と手順に齟齬が生じていたもの「2成分3製品」、
③出荷試験の溶出性で社内規格を下回る製品が出荷されていたもの「1成分1製品」、
④安定性モニタリングにおいて定量試験および純度試験(類縁物質)が承認規格に適合しないもの「1成分2製品」であった。

更に5月18日に、富山第一工場で製造する8成分9品目について自主回収を開始した。
4月に12成分15品目の自主回収を実施し、同工場で製造する有効期限内全製品で照査を行った結果、8成分9品目で出荷試験の記録に欠落が判明、一部製品で承認書に記載のない工程の実施や溶出性試験、品質試験での逸脱が確認された。

田村社長は決算説明会で、一連の自主回収の経緯を説明し、謝罪した。4月に発覚した12成分15品目の自主回収の後に、「外部機関を交え、富山第一工場における有効期限内全製品の調査を行った。そのなかで今回の8成分9品目につき出荷試験の記録に欠落のあった製品も存在することが分かった。これらは製品の安全性に疑義を生じさせるものではないが、製品の信頼性に疑義が生じるものであることから所轄官庁である富山県と相談し、自主回収の判断に至った」と説明した。

7月31日には胃炎・胃潰瘍治療剤について、安定性試験結果の確認に於いて、試験検体の保管状況等に逸脱があり、正確な試験結果が得られていないことが判明、3年の使用期限内に承認規格外になる可能性があるとして回収した。

9月16日には、血糖降下剤について、一部のロットから基準を上回る発がん性物質が確認されたため、また健胃消化剤ジアスターゼ及びパンクレアチンについて長期安定性試験において承認規格外となる可能性が否定できないとして、自主回収を行った。

更に11月9日に、ランソプラゾールカプセルなど6成分7品目の自主回収(クラスⅡ)を開始した。富山第一工場で製造しており、承認書に記載のない工程を実施したり、承認規格を下回っていたりしたことが発覚した。

2021年1月13日、同社は新たに38品目の自主回収(いずれもクラスⅡ)を開始した。一部対象製品については、効果発現が遅延する可能性や有効性低下の懸念などがあるものの、いずれも重篤な健康被害が発生する恐れはないと考えられるとしている。

最終的に、2020年4月から2021年1月にかけて、合わせて75品目の製品の自主回収を繰り返した。

工場では、出荷試験などで「不適合」とされた製品について少なくとも2011年ごろから国が承認していない手順で再試験や再加工を行い、「適合品」として出荷していたことなどが、会社の依頼を受けた外部の弁護士による調査などで確認されたという。

調査などによると、ジェネリック医薬品の需要の高まりを受けて特に2014年ごろから生産が急増したが、人員や設備を確保しないまま過剰な生産計画を立て、試験で不適合となった製品を廃棄しなくて済むよう再試験などを行っていた。

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同じジェネリック医薬品大手の小林化工が2月9日に116日間の業務停止命令を受けた直後であり、ジェネリック医薬品メーカーに対する不信感が高まるのが懸念される。

政府は医療費引き下げのため、ジェネリック医薬品使用を勧めているが、こういう状態が続くと、ジェネリック品の使用をためらう動きもでてくる。

2021/2/12 小林化工に116日間の業務停止命令 

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