英国、新型コロナウイルス対策費用を賄うため大企業向け法人税率引き上げ

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英財務相は3月3日、2021年度(4月~3月)の予算案を発表し、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済を支援する目的で講じた緊急措置の延長を明らかにした。
一方でコロナ禍における巨額の経済支援費用を賄うため、黒字企業には負担を求めることになると述べ、
2023年4月から大企業向けの法人税率を現行の19%から25%に引き上げると発表した。

財務相は「政府は企業が新型コロナのパンデミックを乗り越えられるよう、1000億ポンドを超える支援を提供している。従って企業側に景気回復への貢献を求めることは公平であり必要だ。税率変動後も英国の法人税は依然としてG7の中で最も低い」と述べた。「政府債務の問題を未来へ放置するのは責任ある財務相のやり方ではない」と理解を求めた。


イングランドが3度目のロックダウンを続ける中で、短期的には雇用を守ることが優先事項であると明示、今年と来年で650億ポンド(約9兆7100億円)のコロナ対策費を追加する。

予算案の主な内容は以下の通り。3月から6月下旬にかけて段階的にロックダウンを解除する方針で、それまでの支援策も盛り込まれた。

  • 一時帰休労働者向けの支援策(80%補填)は9月末まで継続、7~9月は企業に1~2割の負担金を求める。
  • 飲食や宿泊、娯楽業を対象にした付加価値税(VAT)減税(通常の20%を5%に引き下げ)は9月30日まで半年間延長
  • 不動産購入時に課す印紙税の減免を6月30日まで延長
  • 今年の英経済成長率予測は4%
  • 来年の経済成長率予測は7.3%と、昨年11月に見込んだ6.6%から引き上げ

コロナ対応への財政出動の結果、2020~21年の政府の借入金の合計は約5900億ポンド(約88兆円)に達する見通し で、政府債務の残高が当面はGDPを超えた状態が続くと予測する。

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法人税率の引き上げは1974年以来、約50年ぶり。

英国の法人税率(大企業対象)は1999年から30%であったが、2008年に28%に引き下げ、キャメロン内閣は2011年に将来的に17%まで引き下げることを決めた。

2016年3月に、当時20%であったのを2017年度に19%、2020年度に17%に引き下げると発表した。しかし、2020年度予算案で、2020年度と2021年度は19%に据え置くとしていた。

今回、2023年度に大企業について25%に引き上げる。但し、中小企業を中心に英国の7割の企業の税率は19%のままとする。

年間利益が25万ポンド(約3700万円)以上の企業は税率25%、5万ポンド以下の企業は19%据え置き、その間の利益の企業は19%~25%の税率となる。

source:http://jichisoken.jp/publication/monthly/JILGO/2019/09/tnishimura1909.pdf

 

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