VWグループ、EV向け次世代電池を大量生産

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VWは3月15日に"Power Day" を開催、2030年までのEVなどの電動車向けバッテリーとその充電に関する技術ロードマップを発表した。

同社は電気自動車(EV)シフトを一段と加速する。2025年に世界の新車販売の2割をEVにし、2030年に5割、2035年には大半をEVにするロードマップを示した。欧州では2030年に6割を目指す。

本年のEV販売目標を100万台とし、
遅くとも2025年までに世界EV市場のリーダーになることを目指すとした。

最重要部品となるバッテリーについて、電池メーカーとの合弁などを通じて40 GWh の工場を2030年までに欧州で6カ所設ける。規格を統一した電池("Unified Cell")を大量生産しコストを半減、ガソリン車より安いEVを目指す。

これは車載電池メーカーにとって大脅威である。

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今回、VWはスウェーデンのバッテリーメーカー Northvoltとの間で、今後10年にわたるバッテリー製造で140億ドルの契約を結んだ。

Northvoltはリチウムイオンバッテリーを生産する会社で、2016年に元Teslaの幹部のPeter Carlsson氏により設立された。

Northvoltは2019年にVW、BMW、Goldman Sachs、IKEAグループなどから合計10億米ドルの出資を受けた。増資と欧州投資銀行からの4億ドルの融資で、第1号の工場をスウェーデン北部Skellefteaに建設、16GWhの生産から始め、最低32GWh以上の容量まで増やす。

VWは別途、9億ユーロを投資してNorthvoltとのJVで、16GWhのリチウムイオンバッテリー工場を南ドイツのSalzgitterに設立した。VW用のバッテリー供給を2023年終わりから2024年始めにスタートさせ、数年後に24ギガワット時に拡大する。

Northvoltは3月1日に米国のバッテリー技術の企業 Cuberg を買収し、Silicon Valleyに先端技術センターを得た。 Cubergは液体電解質にリチウムメタルアノードを組み合わせる次世代バッテリーを商業展開するためにスタンフォード大学からスピンアウトした。
Cubergのバッテリーは、電動航空機使用向けにデザインされた同程度のリチウムイオン電池に比べて航続距離と容量を70%増やすとされる。

今回の契約で、VWはNorthvoltの株式を追加取得し、Northvoltが欧州のVWグループ向けの主要な電池サプライヤーとなる。

提携の一環として、Northvoltのスウェーデンのプラントは拡張し、40 GWh とする。
NorthvoltはドイツのSalzgitterのJV持ち株をVWに売却することにも同意した。ここも40 GWh に増強する。

今後、2026年には西欧(スペインかフランスかポルトガル)に1工場、2027年には東欧(ポーランドかスロバキアかチェコ)に1工場、2030年までにあと2工場を建設し、合計6工場 240GWh の能力とする。

標準的な電池容量のEV換算で、合計500万台分相当の電池を生産できる。

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2023年以降、自前の工場で統一した規格の角型電池セル"Unified Cell"を生産する。2030年には全体の8割をこの統一セルとし、セルのコストを現在の半分に下げる。

現在のEVやHV、PHEVなどに採用されているバッテリーは、自動車ごとに車両に合わせたデザインの異なる構造、仕組みになっている。
Unified Cellは、1つの仕様で統一してバッテリーの最小単位であるCellを大量生産することでコストダウンを行う。最終的には車種ごとにこれを複数組み合わせて1つのバッテリーを組み立てる。

同社では車種のうち80%はこれでカバーできると考えている。残りの20%(例えばスポーツカーなどの特殊な車両)に関してはより高出力なCellが必要になったりするので、独自のCellを利用する。


独アウディや独ポルシェを含む全ての傘下のブランドで電池やソフトウエアなどの共通化の度合いを深める方針を明らかにした。

同社ではコスト半減をうたっている。1kwhあたり100ユーロより大幅に下げる。

デザインで15%、製造プロセスで10%、カソード/アノード材料で20%、システム概念で5%、合計で50%カットとしている。

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VWは充電インフラへの取り組みも続けている。

今回、BPは、同社がイギリスとドイツに展開するガソリンスタンドチェーンで、VWグループの車両に対して充電ステーション機能を提供するパートナーシップを結んだことを明らかにした。
このほか、スペインのIberdrola、Enelなどとも提携、2025年までに1万8000の公共の充電ステーションを欧州内に設けることを計画している。

中国や米国/カナダでも急速充電ステーションの設置を目指している。

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