韓国地裁、慰安婦訴訟2件で原告側の訴えを却下 

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ソウル中央地方法院は3月29日、元従軍慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で1月 に勝訴した件で、原告が訴訟費用確保のために日本政府の資産差し押さえを求めたのに対し、これを否定する決定を行なった。4月20日に韓国法曹界が明らかにした。

別途、元従軍慰安婦らが日本政府を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は4月21日、国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除の原則」を認め、訴えを却下した。(後述)

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韓国で旧日本軍の元従軍慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は1月8日、請求を認め日本政府に賠償支払いを命じる判決を出した。

調停申請時、原告は12人だったが、多くが他界し、生存者は5人となっている。

ソウル中央地裁は、原告1人あたり1億ウォン(約948万円)の支払いを命じる原告勝訴の判決を出した。

地裁は仮執行を認めており、日本政府が控訴をするかしないかの判断に関わらず、韓国内にある日本政府資産の差し押さえ手続きを取ることが可能になる。

実際に日本政府資産の差し押さえは難しい。

在韓日本大使館の建物と敷地、大使館の車両などは、ウィーン条約第22条第3号が「公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される」と規定しており、強制執行が不可能である。

日本文化院も外務省所属の政府機関であり、各国派遣大使館(または総領事館)の一部としてウィーン条約の特権が保証される。

日本国内の日本政府資産に対する差し押さえも、韓国の裁判所が日本司法当局を相手に「執行承認」を要請しなければならず、日本の裁判所が執行を許諾する可能性はない。

2021/1/8 元慰安婦訴訟で日本政府に賠償命令 

日本政府は、国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の原則「主権免除」を理由に裁判を認めていない ため、原告は韓国内にある日本政府の資産を差し押さえることを検討し、地裁に日本政府が韓国内に所有する財産の開示を求める手続きを申し立てていた。

1月の判決では、「訴訟費用は日本が負担せよ」としている。

原告は訴訟費用の確保のため日本政府の資産差し押さえを求めた。

これに対し、ソウル中央地方法院民事34部は3月29日に韓国政府の「国庫による訴訟救助取立決定」を下した。

「国家が訴訟救助決定により原告に納入を猶予するようにした訴訟費用のうち、日本から取り立てることのできる訴訟費用は無いという点を確認した」とした。

裁判所関係者は「"強制執行"に関する判断で、これまでの判決である"勝訴"に関する部分ではない」と説明した。

決定は、確定判決を有効としつつ、外国の資産への強制執行はその国家の主権侵害にあたる可能性を指摘 し、韓国内の日本政府の資産を差し押さえた場合、「憲法上の国家安全保障、秩序維持、公共の福祉と相反する結果を招く」と懸念を示した。

当初の判決とは異なり「訴訟費用を日本政府が負担する必要はない」と明示しており、「強制執行は国際法違反」など勝訴判決そのものを問題視する内容も多く指摘している。

本案訴訟は日本政府の国家免除を認めず、原告勝訴判決を確定した。しかし、外国に対する強制執行は該当国家の主権と権威を傷つける恐れがあり、慎重なアプローチが必要 である。
同事件の訴訟費用を強制執行することになれば国際法に反する結果を招くことになる。

外国政府の財産に対する強制執行は現代文明国家の間の国家的威信に関連することで、これを強行すれば司法府の信頼を損なうなど重大な結果につながりかねない 。
今回の事件は、記録に残されたすべての資料を見ても、国連の国家免除条約上の外国政府に対する強制執行要件を満たしていない。
日本政府の財産を強制執行すれば、憲法上の国家安全保障、秩序維持、公共福利と相容れない結果に達することになる。

日本政府に対してこの事件の訴訟費用の取立決定を行うことは、国際法に違反す る。ウィーン条約によると、どの国家も国際条約を履行しないことを正当化するために司法府の判決など一切の国内的事情を援用してはいけない。
大法院の判例で、確定判決による権利も信義誠実の原則により行使されるべきで、判決に伴う執行が権利乱用になる場合には許されない。

(1965年の韓日請求権協定と2015年の韓日慰安婦合意にも言及し)最近も両国政府は慰安婦合意の有効性を確認し、相当数の被害者が基金(和解・癒やし財団)から金員を受け取るか、残額が日本に返還されなかった 。

国際司法裁判所(ICJ)はほぼすべての平和条約と戦後処理慣行において、国家間で総額精算を行う場合、犠牲者一人ひとりに対する賠償は必須規範ではないと判断した 。
また、ICJは戦時に他の国家領土で武装軍隊によって行われた不法行為に伴う損害に関して国家免除を認めている。
*1月の判決では、韓半島(朝鮮半島)は武力紛争の当事者ではなかったために、ICJ事例を適用することはできないとしていた。


慰安婦被害者側は今回の決定に関係なく、日本政府が慰謝料の支払いを行わない場合、強制執行手続きを踏むという立場 で、被害者訴訟代理人は4月13日に「日本が韓国で所有している財産目録を提出するように命じてほしい」としてソウル中央地方法院に財産明示申請を出した。

今回の地裁決定で、賠償の履行を目的とした日本政府の差し押さえも認められない可能性が高くなった。

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韓国の元従軍慰安婦らが日本政府を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は4月21日、国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除の原則」を認め、訴えを却下した。

「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」が支援する元慰安婦の李容洙氏や遺族ら20人が2015年の韓日慰安婦合意から1年後の2016年に提起した。

「精神的、肉体的な苦痛を受けた」として計約30億ウォン(約2億8千万円)の損害賠償を日本政府に請求した。

日本政府が、国際法上の「主権免除」の原則を理由に訴訟に応じてこなかったため裁判が進展していなかったが、裁判所が公示送達の手続きを取ったことで、昨年から動き始めた。

当初1月13日に元慰安婦や遺族の20人による訴訟の判決が言い渡される予定であったが、判決は延期され、裁判所は追加の審理の必要性があるとみて弁論を再開した。

今回、1審のソウル中央地方裁判所は判決で、「国際慣習法や韓国の最高裁判所の判例にのっとり、外国の主権行為について損害賠償の訴えは認められない」として、「主権免除」の原則が適用されるとの判断を示し、原告側の訴えを退けた。

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