中国政府、独禁法違反でアリババに罰金3000億円 

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中国の独禁法を管轄する国家市場監督管理総局は4月10日、電子商取引大手のアリババ集団(Alibaba Group)に対して182億2800万元(約3000億円)の罰金処分を科す決定を出した。

これまで中国の独禁法は当初、下記の体制で実施されてきた。

反壟断委員会(国務院直属) 独占禁止政策の調査、市場動向のモニター、執行機関間の政策の調整
実務
機関
発展改革委員会価格調査局 価格独占行為の調査・処分
商務部反独占局 事業者結合行為
国家工商行政管理総局
(工商総局)
独占協定、市場支配的地位の濫用、行政権力を濫用した競争の排除・制限(価格独占を除く)

2018年3月、中国の「構造改革」の一環として、独禁法関連の 各機能と、品質検験権益総局(輸出入品質検査検疫を除く)、食品薬品監督管理総局の機能が新設の国務院直属機構の国家市場監督管理総局に移管された。

今回の罰金182億2800万元同法違反としては過去最大となる。罰金額はアリババの2019年の中国国内の売上高(4557億1200万元)の4%が対象となった。

同法違反による制裁金は、2015年に半導体大手の米クアルコムが支払いを命じられた60億8800万元(約1000億円)がこれまでの最高だった。

2015/2/14 中国、独禁法違反でQualcomm975 百万ドルの罰金 

当局の発表によると、アリババは2015年から市場での支配的な地位を乱用し、同社のライバルのEC企業と取引しないよう出店企業などに求めてきた。
「二者択一」と呼ばれる行為で、商品やサービスの自由な流通を妨げ、消費者や競合企業の利益を侵害してきたとしている。

下記の通り、中国の規制当局は2020年12月24日に、アリババ(阿里巴巴)集団の「二者択一」などが独禁法に違反した疑いがあるとして調査を始めたと発表した。

当局はアリババに対して法令順守の水準を高めるように内部管理の強化などを求める。また、今後3年間は法令順守に関する報告書の当局への提出も義務付ける。

欧米メディアは中国政府がアリババに対し、傘下のメディア関連の一部の資産を処分するように要求したとも報じている。香港英字紙South China Morning Postなどが売却対象となる可能性があるという。

アリババは同日、「今回の決定を誠実に受け入れ、罰則に従う。法令順守体制の構築を一層強化し、社会的責任を果たしていく」との声明を公表した。

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昨年来、下記の経緯があった。

アリババ集団の実質的オーナーである馬雲(Jack Ma)は2020年10月下旬、講演で金融当局の監督姿勢に不満を述べたが、習近平国家主席はJack Maによる政府批判に激怒、自身による支配や安定性への挑戦と受け止めたという。

アリババ集団傘下の金融会社でスマートフォンの決済サービス「アリペイ」などを運営するAnt Group螞蟻集團は2020年11月に上海と香港に上場し、4兆円規模の資金を調達する予定だった。
だが、直前にアリババ創業者の馬雲(Jack Ma)氏とアントの幹部が金融当局の聴取を受け、11月3日に急遽 上場延期が決まった。アント・グループによる新規株式公開(IPO)の延期について、決定したのは習主席だったと報じられた。

中国の市場監督管理総局は12月14日、過去の買収案件で当局に申請して承認を得なかったとしてAlibaba(阿里巴巴)と阅文集团(China Literature)に罰金を科すと発表した。Alibaba、China Literatureともに50万元(約800万円)の罰金が科される。

Alibabaは2017年1月、中国大手モール運営会社Intown の買収を明らかにした。Intownは中国に29の百貨店と17のショッピングモールを運営している。3年前に一部出資したが、100%買収し、上場廃止とするもの。AlibabaとChina Literatureは当局に買収を申請しなかった。しかし買収はいずれも「マーケットの競争を阻害するもの」とみなされず、中国の独禁法に則って買収を破棄するのではなく罰金を科した。

AlibabaやTencentをはじめ、中国のインターネット企業の多くは、中国人によって創業され、経営陣も中国人が中心となっているが、海外で上場しており、その株の過半数が外国投資家によって保有されるという意味において、中国にとって「外資企業」である。

中国政府は、インターネット産業に対して、外資の参入を制限しているが、多くのインターネット企業は、VIEスキームを採用することを通じて、これらの規制を回避している。

中国の規制当局は12月24日、中国ネット大手のアリババ(阿里巴巴)集団を独禁法違反の疑いで調査を始めたと発表した。アリババ集団傘下の金融会社Ant Group螞蟻集團に対しても近く指導する。

中国で独占禁止法を管轄する国家市場監督管理総局は、取引先の企業にライバル企業と取引しないよう求める「二者択一」などが独禁法に違反した疑いがあるとして立件に向けて調査を始めたと発表した。家電大手との取引が問題となっていた経緯がある。

中国当局は12月30日、アリババグループの傘下企業などに対し、価格法に違反したとして罰金50万元(約800万円)を科す決定を出した。

アリババは傘下のネット通販「天猫(Tmall)」は11月11日の「独身の日」に、セール価格として27.9元でコメを販売していたが、実際には前日に24.9元で販売していた商品を値上げしていた。

2020/12/31 中国もインターネット企業を規制 

アント・グループは2021年3月12日、最高経営責任者(CEO)兼業務取締役の胡暁明(Simon Hu)が「個人的理由で」同日付で辞任したことを明らかにした。後任のCEOには、2016年から2019年までCEOを務めた井賢棟(Eric Jing)会長が就任する。





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