ワシントンDCを51番目の州に?

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米下院は4月22日、首都Washington, D.C. (District of Columbia)を51番目の州にする法案を与党民主党の賛成多数で可決した。

民主党 共和党 合計
賛成 216   216
反対 0 208 208
棄権 2 4 6
合計 218 212 430

この特別区は連邦政府を置く場所であり、連邦議会の排他的立法の下に置かれており、住民は議会における代表権がない。
下院には1名の代議員 を選出できるが、法案の提出や委員会で投票を行うことはできるが、本会議では投票権を持たない 。
上院議員の選出は認められてい ない。

住民が大統領を選ぶ権利については、1961年の憲法修正第23条によりようやく与えられた。

「もし同地区が州であると仮定すれば連邦議会に送ることのできる上院および下院の議員総数と等しい数の選挙人を選任する。ただし、その数は、いかなる場合にも、人口の最も少ない州の選任する選挙人の数を超えてはならない。」 

現在、選挙人は上院(100)と下院(435)の議員数にコロンビア特別区の3人を合わせ総数は533名である。

バーモント州などより多い70万人の人口を擁し、地元では「代表なき課税」は不当だと訴える声が絶えない。


州昇格は悲願であり、これまでも動きはあったが、2020年に初めて州昇格法案が下院で可決された。

米下院本会議は2020年6月26日、コロンビア特別区を51番目の州に昇格させる法案を賛成232、反対180で可決した。 採決では1人を除きすべての民主党議員が賛成し、共和党議員はほぼ全員が反対した。

51番目の州となり、州の名前はWashington, Douglass Commonwelth とする。(元奴隷で奴隷制度廃止運動家のFrederick Douglassの名前から採用)

White House、米国議会、National Mallを含む狭い地域を州から外し、連邦地区とする。

新州には上院2議席と下院1議席が割り当てられる。

下院で共和党がほぼ全員反対したのは特別区が黒人住民が多く(全体の46%)、民主党の強固な地盤であることである。2016年の調査では登録有権者の76%が民主党支持で、共和党支持はたった6%であった。

昨年の大統領選では、バイデン大統領のワシントンでの得票率は92%に達した。
州に昇格した場合、新たに与えられる上院の2議席を民主党が独占するのはほぼ確実で、上院で民主党が非常に有利になる。

共和党は「権力の強奪だ」と猛反発した。

昨年は共和党のトランプ大統領が拒否権行使を示唆し、上院で多数派だった上院は審議入りさえ拒んだ。

下院の投票の2週間前に、当時の共和党のMitch McConnell 上院院内総務は上院での審議拒否を公言した。

2つの対案が提出された。
1つは、White Houseなどの限定された場所を除く特別区全体を隣のMaryland州に編入するというもの。住民は選挙権を与えられることになる。

もう一つは、憲法を改正し、上院議員の総数を100とするというもの。各州は2人の議員を出すため、州の数を現在の50にとどめることを意味する。

新しい上院は民主党と民主系無所属が50、共和党が50で、賛否同数の場合は上院議長を兼ねる副大統領(民主党)が1票を投じる。

民主党の法案提出者は、「歴史上初めて州昇格が射程に入った」と語った。

しかし、フィリバスターを避けるためには60票が必要で、共和党からの10名の賛成が必要となる。

なお、フィリバスターを避ける異例の手もあるが、それを決めるには民主党全員が賛成する必要がある。既に一人の民主党上院議員はフィリバスター回避法案には賛成しないと明言している。

法案の成立は容易ではない。Maryland州に編入し、住民に投票権を与える案の方が実際的かも分からない。

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