欧州委員会は4月29日、EUからのワクチン輸出について説明した。
当初、4月19日までの数値をEU各国に示したが、4月26日までの数値に更新して発表した。
1月末からの3か月でEU域内から合計1億4800万回分の輸出許可を出したが、うち日本向けは5230万回分で輸出の35%を占めた。英国の1730万回分が続く。
付記
日本に4月25日までに到着したワクチンは2800万回分に過ぎない。
日本政府はEUの輸出許可数量を把握しておらず、関係者は確認に追われたという。
河野担当大臣はツイッターで下記の通り述べた。
4月30日にModernaワクチンが到着した。数量は公表されていないが、EU発表にはこれは含まれている。
EUは1月29日、輸出の透明性を高めるためだとして、域内の工場で生産されたワクチンを輸出する際、事前申告と許可を必要とする措置を導入すると発表した。
この措置は、1月30日からことし3月末までの時限的なもので、ワクチンの公平な分配を目指す「COVAXファシリティ」と呼ばれる国際的な枠組みなどへの供給は例外だとした。
欧州委員会は3月11日、新型コロナウイルスワクチンの輸出制限措置を6月まで延長すると発表した。欧州委によるとEUはバルカン諸国やアフリカへの支援用も含め、最大26億回分のワクチンを契約しているが、EUへのワクチン供給が遅れているため延長に踏み切った。
2021/1/31 EU、ワクチンの輸出規制
イタリア政府は3月4日、イタリア国内で製造されたAstraZenecaのワクチンのオーストラリアへの輸出を差し止めたと発表した。
2021/3/5 イタリア政府、新型コロナワクチンの輸出を差し止め
輸出には欧州委員会と輸出国の両方の承認が必要であるが、これまでのところ、輸出差し止めはこの1件だけである。
問題は輸出元のEU自体でのワクチン接種が遅れていることである。
EUの接種計画は国によって大きなばらつきがある。 成人100人に対してEU内の平均は同31.6回分で、東欧は少なく、ブルガリアでは11回分しかない。そのなかでの域外輸出は問題になる可能性がある。
EUは3月17日に、不足しているコロナワクチンを域内市民向けに確保するため、英国への輸出を禁止する可能性を示唆した。これまでにコロナワクチンを接種した人数の人口比は、英国の方がEU加盟国と比べて高い。
EU当局者は3月21日、オランダで生産したAstraZenecaのワクチンについて、英国からの輸出要請を拒絶していることを明らかにした。
EUの欧州委員会は3月24日、1月末に導入した新型コロナウイルスワクチンの輸出規制の強化方針を発表した。
ワクチンが契約通り EUに供給されることを狙い、EUへの輸出を制限しているワクチン生産国や、ワクチン接種率でEUに先行する国への出荷を停止できるようにする。 (日本は該当しない)
欧州委員会は4月26日、ワクチンを契約通りに供給していないとしてAstraZenecaを提訴した。EUの27か国全部がこれを支持している。
最大4億回分を購入する契約を結んでいたが、4~6月期は1億8千万回の予定が7千万回になる見通し。
AstraZenecaは努力義務だと反論している。
2021/3/25 EU、新型コロナワクチンの輸出規制を強化
注 上図の通り、ハンガリーの接種率が特に高い。EUが許可していない中国やロシアのワクチンを国民に接種している。
2021年1月29日、EU加盟国では初めて、中国のSinopharm製の新型コロナウイルスワクチンを承認した。1週間前にはロシア製ワクチンにも暫定使用許可を出していた。
ハンガリーの外相は「EUによるワクチンの調達が遅いため、国民の命を守るには必要だった」と述べた。
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