BioNTechは3月30日、米Pfizerと共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、2021年末までにPfizerと合わせた生産能力を25億回分に拡大させると表明した。従来計画より2割高め、各国からの需要に応える。
BioNTechはドイツのMarburgの新製造施設のほか、他の製造業者や供給業者とのネットワーク拡張などで増産が可能になったと説明した。生産能力拡大は需要増に対応したものとし、一段の拡大に向け協議を進めていると明らかにした。
BioNTechは受注残を踏まえるとコロナワクチンの今年の売上高は98億ユーロになるとの見通しを表明した。「コロナワクチンによる売上高を新たなワクチンや治療薬の研究と開発に投資する大きな機会が見え始めている」としている。同社の2020年12月通期の売上高は前の期の4.4倍の4億8232万ユーロだった。2021年の売上高は2019年の売上高の約100倍となる。
状況は次の通り。
供給
BioNTechのワクチンは現在、緊急承認等を含め65か国以上で承認されている。
BioNTechとPfizerは3月23日時点で2億回分を供給、2021年の供給分として14億回分以上の受注が確定している。
本年2月に米国政府は1億回分の追加のオプションを実行し、19.5億ドルを支払った。米国向けは合計3億回分となった。
同じく2月にECとの間で2億回分の追加の契約を結んだ。2021年末までの供給は合計5億回分となるが、更に1億回分の追加のオプション契約を結んでいる。
ワクチン生産
BioNTechとPfizerは2021年末までに生産能力を25億回分に引き上げる。
これは、生産プロセスの最適化、最近のBioNTechのドイツ Marburg工場での生産開始、1つの小瓶(vial)からの接種が5回分としていたのを6回分とすることが認められたこと、製造・供給ネットワークの拡大による。更なる改善策が検討されている。
Marburg工場:
BioNTech は供給量の拡大のため2020年10月にNovartis AGからドイツ のMarburgのGMP製造施設を取得した。European Medicines Agencyは2021年3月26日にMarburg工場でのワクチン製造を承認した。
製造能力は年間10億回分で、世界最大のmRNAワクチン製造施設の一つとなる。4月後半に最初の出荷が行われる。Marburg 工場は、最先端の multi-platform GMP認定製造施設で、組換えタンパク質の生産設備を完備しており、細胞培養ラボとウイルスベクター生産機能を備えている。 長期的な成長と拡大の余地がある。
工場には100年の伝統がある。ジフテリアと破傷風の抗毒素を開発したEmil von Behringによって1904年に設立された。1901年にノーベル医学賞を受賞した賞金を製造現場の資金として使用した。1904年の設立以来、ワクチンの製造を含む医薬品および生物学的イノベーションの最前線に立っており、その結果、高度に確立されたインフラストラクチャが備わっている。
世界の生産設備
Pfizerは米国3工場とベルギー工場、BioNTechはドイツ2工場
別途、LNP(脂質ナノ粒子)の生産やワクチン充填については能力を拡張している。
利益配分
Pfizerとは中国を除く世界全体で利益 (gross profit ) を50:50で配分する。
BioNTechは中国ではFosun Pharma (上海復星医薬)と提携している。
中国でのGross Profit の35~40%を受け取る。
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