東芝 車谷社長辞任

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東芝の車谷社長兼CEOが4月14日付で辞任した。取締役会で辞任を表明した。

後任は前任社長の綱川智会長が復帰する。

本日の記事の通り、東芝は物言う株主との間で揉めており、3月18日の臨時株主総会では物言う株主の提案が通った。

東芝は2015年に発覚した不正会計問題に経営トップが関与していたことへの反省から2016年以降、社外を除く取締役や主要子会社社長、本社の部長級社員ら計100人規模を対象に毎年1回、社長への信任を調査している。

車谷社長に対する不信任は、2019年12月の調査では1割弱だったが、今年1月の調査で2割を超えた。
そのため、対象を執行役や事業部長クラスの30人弱に絞り、2月から3月にかけて再度聞き取り調査を実施した結果、不信任が半数を超えたという。結果については3月下旬に車谷氏にも伝えられている。

東芝の指名委員会が、次の株主総会にかける取締役人事案で車谷社長を指名する可能性はほぼゼロだったとされる。

CVCによる買収は車谷氏が持ちかけたとみられ、永山治・取締役会議長 兼 指名委員会委員長(中外製薬名誉会長)らは、こうした動きを「私物化」と判断し、本日の取締役会には車谷氏の解任動議を提出する予定だったとされる。


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東芝は2021年3月18日、都内で臨時株主総会を開催し、昨年7月に開催した定時総会の運営の適正性について独立した調査を求める筆頭株主 Effissimo の株主提案を可決した。調査の期間は3カ月で、調査者として3人の弁護士を選任した。

付記

東芝は6月10日、昨年7月の株主総会に関する調査報告書を公表し、同株主総会では、経済産業省と一体となって筆頭株主Effissimo の株主提案権の行使を妨げようと画策したなどと指摘されたことを明らかにした。報告書は、株主総会は「公正に運営されたものとはいえない」と結論付けている。

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20210610_1.pdf?_ga=2.228070685.1234270687.1623310389-617751326.1623310389


臨時株主総会でEffissimo の株主提案が可決された直後の4月7日、CVC Capital Partners が買収提案を行った。

東芝の車谷CEOは東芝の社長兼CEOに就任する前はCVC Capital Partnersの日本法人の代表取締役会長であった。また、東芝の藤森義明・社外取締役は現在、CVC日本法人の最高顧問である。

このことから、物言う株主との対立が続いている東芝の株式を非公開化して、経営判断を速めるため、東芝側から持ち込んだものではないかと の見方もある。

CVCの買収提案について東芝の永山取締役会議長は「(買収提案は)当社の要請によるものではなく、当社の事業についての詳細な検討を経た上で行われていない」としている。

しかし、「現代ビジネス」によると、CVC提案には車谷氏の留任を求める文言はしっかり明記されていた。また、経済産業省は、車谷氏を留任させてCVCの提案を受け入れれば、障害になりかねないと懸念される外為法の事前審査にゴーサインを出すとの意向を東芝側に伝えたという。

「現代ビジネス」は、次の通り述べている。

身の危険を察知した車谷氏サイドが動きを封じるため、CVCと経済産業省に周到な根回しをしていた疑いと、今回の買収提案が、M&Aの世界で禁じ手とされる「経営陣の自己保身」だった可能性は濃厚と言わざるを得ないだろう。

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