東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は日本看護協会に対し、大会期間中の医療スタッフとして看護師500人の確保を要請する文書を4月9日に送っていた。
2021/4/28 東京五輪の医療体制
日本医療労働組合連合会が4月30日付で「オリンピックに500人の看護師派遣要請は直ちに見直すべき」との書記長談話を発表した。
厳しいコロナ対応を迫られる現場を守り、医療崩壊が起こっている他の病院や地域へ送り出され、今まさに歯を食いしばって患者のいのちと向き合っている看護師を、オリンピックにボランティア派遣させることなど絶対にあってはならない。
派遣会社に登録している看護師も、多くは新型コロナ陽性患者の宿泊施設に派遣されている状況もあり、オリンピックのボランティアを希望する登録派遣看護師は少ないと思われる。
各県看護協会のナースセンターに登録している再就業を希望する看護師の活用も模索されているが、新型コロナ感染対応や夏場の熱中症などの急変対応に、果たしてスムーズに対応できるのか疑問である。
オリンピック開会までにコロナ感染が落ち着く見通しなどまったくない中、患者と看護師のいのちや健康を犠牲にしてまでオリンピック開催に固執しなければならないのかと、強い憤りを感じる。
国民のいのちと健康を脅かす事態を広げないことを第一に考えた対応を行うべきである。
都医師会の新井悟理事は「地域の医師はワクチン接種で手いっぱいだ。医師資格を持つ自衛官にも接種を頼むくらい人手が足りないのに、派遣は不可能だ」と述べた。
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時事通信によると、東京五輪・パラリンピック組織委員会が、大会中に各会場医務室などで対応可能な日本スポーツ協会公認スポーツドクター(医師)を同協会を通じて200人程度募集していることが分かった。
協会が対象者に送った募集案内によると、ボランティアとしての活動になるため、交通費相当額などを除き謝礼は支給されない。
活動内容は熱中症や新型コロナウイルス感染症の疑いがある人への救急対応、体調不良者やけが人の治療が中心。少なくとも数日程度は従事できることが条件で、応募の締め切りは14日になっている。
付記
組織委員会が募集していたスポーツドクター約200人に対して、393人の応募があった。1982年度より制度化された。
役割としては、(1)スポーツマンの健康管理、(2)スポーツの外傷・障害の診断・治療・予防、(3)スポーツ参加者の健康診断、(4)競技会開催に際しての医事運営、(5)チームドクターとしての参加などであり、競技力の向上や競技開催に必要なドクター。日本国の医師免許取得後4年を経過が条件。
日本国内では約5500名(2017年7月現在)認定されている。
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