ワクチン接種者の9割に「中和抗体」 

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横浜市立大学の研究チームは5月12日、現在接種が進められている新型コロナウイルスワクチンが、従来株のほか、様々な変異株に対しても中和抗体の産生を誘導し、液性免疫の観点から効果が期待できることを明らかにした。

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横浜市立大学大学院医学研究科 微生物学の共同研究グループは2020年7月28日、新型コロナウイルスに対する中和抗体を簡便かつ迅速に測定できる新しい手法(新規中和アッセイhiVNTシステム)の開発に成功したと発表した。

実際の感染性ウイルスや遺伝子組換えウイルスを使用せず、ウイルスの殻だけからなる、ウイルス様粒子 (VLP) を使用することで、特殊な実験室や設備を必要としない。

発光によって標的タンパク質を定量するHiBit(11アミノ酸のペプチドタグ)を活用。表面に新型コロナのSタンパク質があり、HiBitで目印を付けたウイルス様粒子(VLP)を試験用細胞に投入した後、細胞内にあるLgBiTタンパク質とHiBitの相互作用で光る酵素の活性度合いで、中和活性のレベルを測る。酵素の発光量が少ないと、VLPが細胞に侵入している量が少なく、中和活性が高いと判断する。

長時間(通常72時間から1週間)を要する中和抗体の測定が、新たに開発した変異株パネルにより、3時間で測定可能となり、多検体の高速な測定が可能になった。

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研究チームは2020年12月2日、新型コロナウイルスの感染者のほとんどが、再感染を防ぐ抗体(中和抗体)を半年後にも持つことを確認したと発表した。症状の重かった人ほど多く残る傾向だった。

感染から6か月たっても中和抗体を保有している割合は下記の通り。

無症状  15人 97%
軽症 265人 97%
中等症(酸素投与) 71人 100%
重症(人工呼吸器等) 25人 100%
全体 (20~70歳代) 376人 98%


2020/12/3 新型コロナウイルスの中和抗体、半年持続

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チームは本年3~4月に日本人のワクチン接種者111名(未感染105名、既感染6名)を対象に接種前と、1回目と2回目の接種後の血液をそれぞれ採取し、この手法を利用して、ファイザー製ワクチンの有効性について、中和抗体(液性免疫)の保有率という観点から調査した。

  • 独自の迅速抗体測定システム「hiVNT新型コロナ変異株パネル」を活用して、従来株および変異株7種の計8株に対する中和抗体を測定。
  • 未感染者でワクチン2回接種した人のうち、99%の人が従来株に対して中和抗体を保有していた。
    流行中のN501Y変異を有する3つのウイルス株(英国、南アフリカ、ブラジルで初めて確認された株)に対しても、90~94%の人が中和抗体を有していた。
  • 懸念されているインド由来の株に対しても中和抗体陽性率が低下するような傾向は見られなかった。
  • 計8株すべてに中和抗体陽性であった人は全体の約9割(93/105; 89%)であった。
  • 中和抗体の上がり方については個人差が見られた。特に1回接種のみでは、変異株に対して中和抗体が産生されない人が一定数存在した。
1回目
接種後
2回目
接種後
従来株 57% 99%
英国株 18% 94%
南アフリカ株 21% 90%
ブラジル株 16% 94%
インド株 37% 97%
カリフォルニア株 39% 97%
ニューヨーク株 55% 98%
由来不明「E484K変異」 34% 97%

山中教授は「集団免疫に期待が持てる結果が出た。現在の変異なら、既存ワクチンで対応できるのでは」と話した。

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