日揮ホールディングスは4月6日、海外における小型モジュール原子炉(SMR:Small Modular Reactor)プラントのEPC(設計・調達・建設)事業への進出を目指し、SMRの開発を行っている米国NuScale Power, LLCへの出資を決定したと発表した。40百万米ドルの出資を行う。
IHIは5月27日、NuScale Power, LLCへ出資し、日揮とともにSMR事業に参画すると発表した。
SMRは、原子炉1基ごとの出力を小さくすることで原子炉の冷却を容易にし、安全性を高めた原子炉で、あらかじめ工場でモジュールを製造・組み立て、トラックなどで運搬し建設地で据え付けることで、工期短縮や建設コスト・リスク削減が可能である。
原子炉の冷却性能など高い安全性を備えており、SMRとして初めて米国原子力規制委員会(NRC)の型式認定を完了しており、商業化に向けた検討が進められている。
複数の小型原子炉で構成するNuScale PowerのSMRは、炉の一部だけを運転することで負荷追従運転が可能であることから、再生可能エネルギーの調整電源としての役割が期待されている。
IHIは、カーボンソリューションを成長事業と位置づけており、SMRが脱CO₂社会実現の有力なソリューションの一つになり得るとして、出資を決定した。
NuScale の現在のマジョリティ投資家はSMRの設計・購買・建設を担当するFluor Corporationで、他に同社にコア技術を売却したOregon State Universityや、ARES Corporation、ENERCON、Ultra、DHIC、Sargent & Lundy などが出資している。
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NuScale Powerは、発電、地域暖房、淡水化、その他のプロセス熱アプリケーションにエネルギーを供給するための新しいモジュール式軽水炉(SMR)原子力発電所を開発した。
NuScale Power は2017年1月12日、SMRを使った初めての発電所を建設・運転するための認可申請を米原子力規制委員会(NRC)に提出した。
2017/1/17 米国で次世代原子炉申請
米原子力規制委員会(NRC)は2020年9月1日、SMRの型式認定申請(DCA)に対する最終段階の審査を完了した。
SMRは直径 2.7m、高さ 19.8mで、1基当たりの出力は5万キロワットで、12基を組み合わせ、計60万キロワットの出力を予定している。
リアクターと容器は地下につくられたプールの水のなかに置かれる。
仕組みは以下の通り。
核反応によるエネルギーで一次冷却水が熱せられ、対流と浮力で上昇する。
上昇した熱は、蒸気発生器の数百本のチューブの壁を通して二次冷却水を熱し、蒸気にする。この蒸気がタービンを回し、発電する。 (リアクター1基に発電機1基)
冷たくなった一次冷却水は重力で落下し、再度熱せられる。(繰り返し)
モジュールの冷却には自然対流と伝導によるので外部配管やポンプ、駆動用の電源を必要としない。
事故で原子炉が運転停止すると、外部電源無しに、冷却水の補充なしに、オペレータの作業なしに、全体が入っている大きなプールの水(400万ガロン)で自動的に無期限に冷却され炉心溶融を防ぐ。
下記により安全を確保している。
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