JSRは5月11日、合成ゴム事業をENEOSに売却することを発表した。合わせて韓国のEPDM製造販売のJVの錦湖ポリケムをJV相手のKumho Petrochemicalに譲渡すると発表した。
同社については年初来、創業事業であるエラストマー事業の売却を含めた構造改革を検討していると報じられ、韓国紙は韓国のLotte Chemicalが買収に向け動いていると報じ、ゼオンの名も挙がったがとされるなか、2月16日付の化学工業日報は、石油元売り最大手のENEOSホールディングスが買収を検討していることがわかったと報じた。
JSRは4月26日、エラストマー事業全体の公正価値評価を実施して減損損失を認識、2021年3月期に772億円を 減損損失として計上したと発表した。
2021/2/17 JSRの合成ゴム事業売却、ENEOSが関心、韓国Lotte Chemicalも
JSRは5月11日開催の取締役会で、新たに設立する子会社(日本合成ゴム分割準備 ㈱)にエラストマー事業を吸収分割の方法により承継させた上で、 この全株式をENEOSに譲渡することを決定し、同日付でENEOSとの間で株式譲渡契約書を締結した。
国内外の競争法その他の法令等に基づき必要なクリアランス・許認可等の取得が必要で、2022年4月1日の譲渡を予定している。
ENEOSとの間で企業価値を1,150億円とすることで合意しており、実行時点での資産・負債等を調整し、譲渡額を確定する。
これに合わせ、持分法適用会社である錦湖ポリケムの保有全株式をKumho Petrochemical に譲渡し、合弁契約を解消することを決議した。譲渡額等は明らかにしていない。
錦湖ポリケムは、1985年に 両社の合弁会社として設立され、主にエチレン・プロピレンゴムの製造および販売を行ってきた。
設立当初から自動車業界に向けてなくてはならない製品として認識されてい る。
なお、他のJV(下記の川崎の日本ブチル、タイのJSR BST Elastomer 等)の扱いについては今後発表があると思われる。
日本ブチル:JSR 50%/エクソンモービル・ジャパン合同会社 50%
JSR BST:JSR 51%/Bangkok Synthetics 49%
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JSRのエラストマー事業の概要は次の通り。
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