インド型変異ウイルス

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インド政府は5月1日、新型コロナウイルスの感染者が新たに40万1993人確認されたと発表した。1日当たりの感染者が初めて40万人を超えた。3523人が死んだ。

今年2月までインドの感染者は日本より少なかったが、3月から激増した。

その原因は、インドで変異した新型コロナウイルスの変異株「B.1.617」だといわれる。図の通り、この変異型は最近急速に拡大し、現在ではほとんどがこの変異型となっている。

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変異とは生物やウイルスの遺伝子情報が変化することで 、ウイルスは増殖・流行していく過程で少しずつ変異を起こしており、変異が起こるとウイルスの性質が変化し、感染しやすくなること、重症化しやすくなることがあ る。

WHO(世界保健機構)は特に注意が必要な変異株について、"VOC" と "VOI" の2つに分けて定義している。

VOC(Variants of Concern):懸念される変異株

感染しやすい、重症化しやすい、ワクチンや治療薬が効きにくいことなどが既に実証されている変異株

VOI(Variants of Interest):注目すべき変異株

VOCよりは警戒度は低いが、市中において複数の感染例やクラスターが確認されている変異株

2021年4月6日時点で国内の変異株は次の通り。

VOC VOC-202012/01
B.1.1.7)
イギリスで確認された変異株。
従来株よりも感染しやすく、重症化しやすい可能性あり。130ヶ国で報告。
23箇所の変異
H 69/V70欠失、Y144欠失、N501Y、A570D、P681H等
501Y.V2 南アフリカで確認された変異株。
従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。80ヶ国で報告。
N501Y (easily gain access to our cells)
E484K, K417N (affect our immune system)
242-244欠失
501Y.V3 ブラジルで確認された変異株。
従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。45ヶ国で報告。
N501Y (easily gain access to our cells)
E484K, K417N (affect our immune system)
P.3系統 フィリピンで報告された変異株。
従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。
VOI R.1系統 起源不明の変異株。従来株よりも免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。 E484K
B.1.427およびB.1.429 従来株よりもやや感染しやすく、一部治療薬の効果を低下させる可能性あり。

インド型(B.1.617)は2021年4月20日、国内の患者から得られた新型コロナウイルス陽性検体から国内例としては初めて検出された。検疫では、現在まで20例がB.1.617系統と判定されている。

これについては、国立感染症研究所では、感染性やワクチンへの効果、重症度について分からないことが多いため、VOIに位置づけ、引き続き調査している。

次の特徴を持つ。

2つの懸念すべき変異を持つ「二重変異」である。

1つはE484Qの変異で、南ア型とブラジル型にみられるE484K変異に似ている。

「E484Q」はスパイク蛋白の484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からQ(グルタミン)に置き換わった変異 。

「E484K」は484番目のアミノ酸がEからK(リシン)に 置き換わった変異。
「免疫逃避」と呼ばれるもので、 ワクチンが効きにくくなる可能性、再感染リスクが高まる可能性がある。感染しやすい特徴もある。

2つ目はL452R変異で、カリフォルニア州で確認された。感染・伝播性増加の可能性がある。

なお、L452R変異だけのものも確認されている。

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