The American Families Plan

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バイデン米政権は4月28日、主に個人富裕層への増税を財源に育児や教育を支援し、格差の是正をめざす新たな経済政策構想「米国家族計画」 (The American Families Plan )をまとめた。

10年間で1兆ドルの投資、8000億ドルの減税、合計1.8兆ドルの投資及び減税を行なう。

これに関し、富裕層が税金で負担するが、年間40万ドル以下の場合は増税は行わない。

バイデン大統領は、4月28日の上下両院合同会議での初めての施政方針演説で同計画を提案した。トランプ大統領が行った富裕層向けの減税を廃止し、所得税の最高税率を現行の37%から39.6%に戻すとともに、税制の抜け穴をふさぐことで財源を確保するという。
The American Jobs Planと合わせ、費用は15年間で完全に支払われ、長期にわたって赤字を減らしていく。

バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドル、日本円で220兆円を投入する新たな計画(The American Jobs Plan)を発表したが、その時点で、数週間後に医療など社会福祉の拡充策のAmerican Families Planを発表するとしていた。

2021/4/2 バイデン大統領、American Jobs Plan 発表、8年間で2兆2500億ドル投資

American Jobs Plan とAmerican Families Plan は一体で、国の将来のための一世代に一度の投資とする。前者は雇用をつくり、インフラを再建し、イノベーションと国内での生産を活気づける。
後者は、子供と家族への投資である。これらは米国経済、米国の労働者の未来に投資するもので、中国や世界の諸国との競争に打ち勝つのを助けるものだとしている。

しかし、議会との調整は難航が予想される。
野党の共和党がAmerican Jobs Plan を含めた増税案に反対の姿勢を示しているほか、与党の民主党からも今回の計画に医療保険サービスの拡充を盛り込むべきとの声が上がっている。


American Families Plan概要:
Fact Sheet: The American Families Plan

・教育 無料教育を最低4年延長  小・中・高6年の前に2年、後に2年(約5,000億ドル)

Universal pre-school for all 3 and 4 year-olds 3-4歳児にプレスクール(2000億ドル)
Free community college and other post-secondary education investments
 全員に無料の2年の地域短大(1090億ドル)その他    
Education and preparation for teachers 教師の養成(90億ドル)

・低・中所得家族への支援 

Child care (2250億ドル) 高コストのため利用できず、共稼ぎが出来ない家庭が多い。
  所得別に最低負担コスト
  多様な設備から選択可能に
  従業員への投資

家族や医療のために休んだ場合の補填
  
national comprehensive paid family and medical leave program (2250億ドル)

栄養補給
 
Summer Electronic Benefit Transfer Program(夏季に子供に無料or低価の食品補給)の拡充 (540億ドル)
 
Expand school meal programs
 その他

失業保険改善
  保険料引き下げ

Child Tax Credit

 子供のいる家族の税額控除の永久化


・富裕層への増税 10年間で1兆5000億ドル

富裕層に一般労働者と同じように、得た所得全体に課税する。
 金融機関に、富裕層の投資や事業からの収益を報告させ、課税する。(10年で7000億ドル)  

最高税率を37%から39.6%に引き上げ

年収100万ドル超の者に対するキャピタルゲイン課税率の引き上げ(20%→39.6%)

無税の相続の廃止(事業や農園の引き継ぎは認める)

ファンドマネジャーの得る巨額な報酬(carried interest)の抜け穴の廃止による課税等

40万ドル以上の所得層に例外なく3.8%のMedicare tax(現在は抜け穴多い)  

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