バイデン米大統領は6月15日、米連邦取引委員会(FTC)の委員長に米コロンビア大学准教授のLina Khan女史(32)を指名した。
これに先立ち、米議会上院は、バイデン大統領が3月22日にFTC委員に指名したLina Khan 女史を、賛成69票、反対28票で承認した。与党・民主党の出席議員全員に加え、野党・共和党から21人が賛成した。カーン氏は宣誓を経て委員に就いた。
共和党 | 民主党 | 民主系 無所属 |
合計 | |
賛成 | 21 | 46 | 2 | 69 |
反対 | 28 | 28 | ||
棄権 | 1 | 2 | 3 | |
合計 | 50 | 48 | 2 | 100 |
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セブン&アイ・ホールディングスは、米子会社7-Eleven, IncによるMarathon Petroleum からのコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド部門「Speedway」事業に関する株式その他持分の取得が5月14日に完了したと発表した。
これに対し、米国の連邦取引委員会の一部の委員が異議を唱えた。
FTC委員会は定員5名で、決定には過半数の賛成が必要である。(同一党からは3名しか指名できない。)
しかし、当時は1名が欠員で、民主党系が2名、共和党系が2名となっていた。Biden大統領は3月22日、空席のFTC委員にLina Khan を指名したが、任命は上院の承認待ちとなっていた。
全委員がこの取引に問題があると認識したが、対処方針をめぐり意見が分かれ、過半数の合意が必要となる買収の阻止や訴訟などの強制措置には至らなかった。
2021/5/18 米連邦取引委員会の委員、セブン&アイによる米スピードウェイ買収に異議
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委員の任期は2024年9月まで。米メディアによると、FTC委員、同委員長のいずれのポストでも最年少の就任となる。
Lina Cahn は反トラスト法(独占禁止法)の規制強化を唱える左派の学者で、米巨大IT(情報技術)企業に厳しい姿勢で臨むとみられる。
パキスタン系の両親のもとロンドンで育ち、11歳で渡米。米エール大の大学院生だった2017年に、競合他社を排除するアマゾンの問題点を指摘する論文 "Amazon's Antitrust Paradox" で注目を浴びた。
「消費者のみに焦点を当てる考え方が、我々をアマゾンの強大な力に対して盲目にした」
反トラスト法の運用では、短期的な消費者の不利益、つまり価格のつり上げがなければ違法とみなされないが、それではオンライン経済の市場支配力を捉えられない。
アマゾンは物流を独占し、膨大なデータにより、競合を押しつぶし、小規模ビジネス、起業家、社会全体に損害を与える。
たとえ低価格を実現していても規制すべきである。
Amazon is the titan of twenty-first century commerce.
In addition to being a retailer, it is now a marketing platform, a delivery and logistics network, a payment service, a credit lender, an auction house, a major book publisher, a producer of television and films, a fashion designer, a hardware manufacturer, and a leading host of cloud server space.Although Amazon has clocked staggering growth, it generates meager profits, choosing to price below-cost and expand widely instead.
Through this strategy, the company has positioned itself at the center of e-commerce and now serves as essential infrastructure for a host of other businesses that depend upon it.
Elements of the firm's structure and conduct pose anticompetitive concerns--yet it has escaped antitrust scrutiny.
日本経済新聞 2020年9月23日
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