米製薬大手Merck (米加以外での社名はMSD : Merck Sharp and Dohme)は6月9日、開発中の 新型コロナウイルスの経口治療薬「モルヌピラビル Molnupiravir」について、米政府への供給で合意したと発表した。
当局の緊急使用許可を前提に、米政府に170万回分を12億ドルで販売する。米国以外の国とも、当局の使用許可が出る前の販売契約について交渉している 。
後記の通り、もう一つの治療薬についても、 6万~10万回投与分を3億5600万ドルで供給する契約を米政府と結んでいる。
付記 Merckは10月11日、新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」について、FDAに緊急使用許可を申請したと発表した。
付記 Merckは10月25日、European Medicines Agencyが新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」の審査を開始したと発表した。
付記 英医薬品・医療製品規制庁は11月4日、「モルヌピラビル」を承認したと発表した。新型コロナ向けとして開発された飲み薬の承認は世界で初めて。
モルヌピラビルは、ウイルスの増殖を防ぐ飲み薬で、米国などで最終段階の治験が行われており、有効性などが確認できれば今年後半にも米当局に緊急使用許可を申請する可能性があるという。
感染者と接触した後に、感染の予防薬としてモルヌピラビルを飲んだ場合の効果を調べる試験も今年後半に始める。
モルヌピラビルはMerckと米バイオ医薬品企業 Ridgeback Biotherapeuticが共同開発するもので、アビガンと同様、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐRNAポリメラーゼ阻害剤である。
両社は2021年3月6日、臨床試験(治験)で、患者の体内のウイルス量を減らす効果が示されたと発表した。
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Merckは2021年1月25日、同社のCOVID-19ワクチン(V590 と V591) の開発プログラムを打ち切ると発表した。
2つの新型コロナ治療薬(MK-7110 と MK-4482)の開発に集中する。
2021/1/26 米Merck、ワクチン開発中止
今回の「モルヌピラビル Molnupiravir」はMK-4482。
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もう一つのMK-7110はバイオ医薬品会社OncoImmuneが開発したもの。
Merckは2020年11月23日、株式非公開のバイオ医薬品会社OncoImmuneを425百万ドルの現金前払いで 買収すると発表した。2020年末までに買収を完了する。
OncoImmuneの株主は売上高および一定の規制関連のマイルストン達成に基づいた支払いを受け取る権利を得る。OncoImmuneは 新型コロナ治療薬「CD24Fc」のほか、がんや自己免疫疾患の治療薬を開発する。
「CD24Fc」 (MK-7110)は、自然免疫系を標的とするfirst-in-classの組換え融合タンパク質で 、過剰な免疫反応を抑えることで炎症を防ぎ、治療の効果を飛躍的に高めるもの
2020/11/28 米メルク、バイオ医薬品会社OncoImmuneを買収、新型コロナ薬候補を取得
Merckは2020年12月23日、開発中の新型コロナウイルス治療薬「MK-7110」 6万~10万回投与分を3億5600万ドルで供給する契約を米政府と結んだと発表した。
米当局から緊急使用向けの承認が受けられた場合、2021年6月末までに最大で10万回分の出荷を目指す。
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