小野薬品、新型コロナ治療薬「フォイパン」開発を中止 

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小野薬品工業は6月11日、蛋白分解酵素阻害剤「フオイパン®錠」(一般名:カモスタットメシル酸塩)について、無症状から中等症の新型コロナウイルス感染症患者を対象にプラセボを対照とした国内第Ⅲ相試験を行なっていたが、主要評価項目であるSARS-CoV-2が陰性化するまでの期間を達成しなかったため、開発を中止すると発表した。

フオイパンの有効性を示唆する基礎論文の報告およびヒト血中濃度の関係性を踏まえ、健康成人を対象に既承認用量を超えた用量での安全性確認のために第Ⅰ相試験を実施し、その結果を踏まえて無症状から中等症のCOVID-19患者を対象とした第Ⅲ相試験を実施したが、有効性が認められなかった。

無症状から中等症のCOVID-19患者を対象にプラセボを対照とした多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験で、フオイパン1回600mg(77名)又はプラセボ(76名)を1日4回、それぞれ最大14日間経口投与した。主要評価項目はSARS-CoV-2が陰性化するまでの期間。

東京大・医科学研究所の井上純一郎教授らは2020年3月18日、急性膵炎の治療薬として国内で長年使われてきた点滴薬剤「ナファモスタット(商品名フサン)」が新型コロナウイルスの感染を阻止する可能性があると発表した。

2020年3月初めにドイツのグループはナファモスタットの類似の薬剤であるカモスタット(商品名フォイパン)の有効性を発表していた。

カモスタット(商品名フォイパン)は、小野薬品工業が創出し、1985年に発売した。既に物質特許は切れており、国内で多数の後発品メーカーが同じ成分の薬を販売している。

2020/3/18 急性膵炎治療薬が新型コロナウイルス感染阻止の可能性

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なお、フサンについては有望な結果が出ている。

コロナウイルスの場合、ウイルスのSタンパク質がヒト細胞の細胞膜のACE2受容体に結合したあとに、タンパク質分解酵素(TMPRSS2)で切断され、Sタンパク質が活性化されることが重要であるが、ナファモスタット(フサン)はTMPRSS2による切断を阻止し、ウイルスの侵入を阻止する。

2020/5/12 東京大学、アビガンとフサンの併用療法の臨床研究開始


東京大学・井上教授の研究チームの臨床研究では、フサンが変異ウイルスにも効く可能性があると分かった。

実験データでは、フサンの量を増やすとグラフが右下がりになるが、各変異株が同じ動きをしており、変異株にも効く可能性が強いとしている。

但し、医療現場が逼迫するなか、臨床試験が思うように進まないという。井上教授は「年内の承認」を目指している。

 

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