OPECプラス、8月以降の減産で合意に至らず

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石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPEC Plusは8月以降の産油政策で合意に至らず、7月5日に予定していた閣僚級会合を中止した。
次回会合の日程でも合意できなかった。

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OPEC Plus は4月1日、5月以降の減産幅縮小を決めた。7月の減産は580万バレルで、これまでサウジが追加でおこなってきた減産はゼロとなった。

(万バレル)

OPEC+ サウジ追加 合計
2020/5~6  970   970
2020/7  960   960
2020/8~12  770   770
2021/1  720   720
  2 712.5 100 812.5
  3  705 100 805
4 690 100 790
5 -35 655 -25 75 -60 730
6 -35 620 -35 40 -70 660
7 -44.1 575.9 -40 0 -84.1 575.9

2021/1/6 サウジの自主的減産増でOPECプラスが減産維持

今回、8月以降に12月までについて、毎月40万バレルずつ生産を増やし、年末時点では7月末より200万バレル増やす方向で調整した。
その一方で、生産調整は2022年4月末までとしていたのを、2022年中は続けるとの提案がなされた、

しかし、7月1日にアラブ首長国連邦が、8月以降の減産規模縮小は支持するものの、もし生産協定を延長するならば自国の生産割当を著しく増やすよう要求した。同国は増産投資を進めており、減産の基準となる生産量を引き上げるよう求めている。8月以降の減産縮小には同意している。

アラブ首長国連邦は減産幅が他国より大きく、「最も犠牲が大きく、能力の1/3を2年間止めている」と述べており、OPEC Plusの減産がサウジとロシアにより決められていることに不満を持っている。
実際には増産をしたいのに、どの国も耳をかたむけないと不満を漏らしている。

2021年1月の報道でも、UAEはOPECプラス産油国の減産措置における減産目標の配分が「不公平」であるという意識を持っていた。
サウジアラビアの原油生産目標が日量899万バレル程度と原油生産能力(同1,200万バレル程度と推定される)の約75%と見られる一方、UAEは原油生産目標が同251万バレル程度と原油生産能力(同353万バレル程度と推定される)の約71%と見られるなど、原油生産能力を基準とするとUAEの方が減産率が高いことを指していると見る向きもある。

将来の世界石油需要見通しに関する不透明感が強まる中、早期に原油を生産し収入を確保しておく必要性があるかもしれないと同国が認識している。

これに対しサウジは、UAEの比率を変更すれば他国も変更を求め、混乱することになるとして反対した。サウジはまた、2022年末までの減産継続を強く求めた。

数日間の緊迫した協議を経てもサウジアラビアとアラブ首長国連邦の厳しい対立は解消できず、週明けの5日、会議を開くことなく解散した。


付記

OPECプラス関係者は7月14日、減産期間の延長を巡って対立していたサウジアラビアとUAEが譲歩案で合意したと明らかにした。

両国ともに8月から12月にかけて減産規模を日量200万バレル縮小する案は支持したが、2022年4月までとなっている減産期間を同年末までに延長する案については、UAEが自国の生産割当の引き上げを要求し、それが認めらない限り反対するとしていた。

今回、UAEは減産水準を算出する際の同国の基準生産量を2022年4月以降、現状の日量316万8000バレルから365万バレルに増やすよう要求し、これをサウジが受け入れたという。他国の基準生産量については不明。

一方、UAEのエネルギー省は声明を発表し、同国の基準生産量に関してはまだOPECプラスと合意に至っておらず、協議が継続していると表明した。




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