ドイツ霊長類センターなどの研究班は2020年3月初め、カモスタットメシル酸塩(商品名フォイパン)が新型コロナウイルスのヒト細胞への感染を妨げることを培養細胞などを使った実験で確認したと報告し た。
カモスタット(商品名フォイパン)は、小野薬品工業が創出し、1985年に発売した。既に物質特許は切れており、国内で多数の後発品メーカーが同じ成分の薬を販売している。
日医工は「カモスタットメシル酸塩」として販売している。
東京大・医科学研究所の井上純一郎教授らは2020年3月18日、急性膵炎の治療薬として国内で長年使われてきた点滴薬剤「ナファモスタット(商品名フサン)」が新型コロナウイルスの感染を阻止する可能性があると発表した。
原因ウイルスの外膜と、感染する細胞の細胞膜との融合を阻止することで、ウイルスの侵入過程を効率的に阻止する可能性がある 。
ナファモスタットの類似の薬剤であるカモスタット(商品名フォイパン)と比較してナファモスタットは10 分の1以下の低濃度でウイルスの侵入過程を阻止した。
ナファモスタット(商品名フサン)は鳥居薬品が1986年に発売、主力製品として販売してきた。
鳥居薬品は2019年4月1日付で日本における製造販売承認を日医工へ承継した。
ナファモスタット、カモスタットともに急性膵炎などの治療薬剤として本邦で開発され、すでに国内で長年にわたって処方されてきた薬剤である。安全性については十分な臨床データが蓄積されており、速やかに臨床治験を行うことが可能である。
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日医工は「カモスタットメシル酸塩」については米国子会社で新型コロナ治療薬とした開発を行った。
日医工は7月5日、新型コロナウイルスへの治療効果が期待されている「カモスタットメシル酸塩」について、米国の100%子会社Sagent Pharmaceuticals, Inc. が実施するコロナ治療薬を目的とした開発を中止すると発表した。
Sagent Pharmaceuticals, Inc.は、注射薬に特化し、北米市場向けに医薬品を開発、製造、供給、販売するスペシャルティ医薬品メーカー で、2016年8月にTOBで買収した。
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第2相臨床試験(治験)で安全性上の懸念事項は確認されなったものの、同試験の主要評価項目である「入院率」ならびに「死亡率」の低減に関して統計上の有意差の確認には至らなかった。
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「ナファモスタット(商品名フサン)」については点滴静注製剤しかないが、気道や肺に高濃度で移行できる吸入製剤の効果が期待されるため、2020年6月8日に東京大学、理化学研究所、日医工、第一三共が吸入製剤の共同開発について基本合意した。
第一三共は2021年6月15日、日医工が製造販売する急性膵炎薬「フサン」の成分を転用した新型コロナウイルス向け治療薬候補のナファモスタット吸入製剤について、開発を中止すると発表した。
2021年3月からの初期の臨床試験(治験)で安全性に懸念が生じたという。
点滴静注製剤としては長期間使用されており、問題はなかったが、吸入での投与では「安全性に懸念があった」という。
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