韓国政府は5月13日、ソウル南方にあるサムスン電子の平沢事業所で「K(韓国型)半導体戦略」の報告会を開き、「総合半導体強国」の実現に向けた戦略を発表した。
半導体メモリだけではなくシステム半導体(非メモリであるシステムLSI 製造やファウンドリサービス)でも世界一を目指す。
企業と協力し、2030年までに世界最大・最先端の半導体供給網「K半導体ベルト」を国内に構築することが戦略の柱で、半導体の製造、素材・部品・装備(装置や設備)、先端装置、設計などをひっくるめた半導体製造インフラを整備する。
2021/5/20 韓国、官民協力で「K半導体ベルト」構築
韓国政府はこれに続き、7月8日にLGエネルギーソリューションの梧倉工場で、「Kバッテリー戦略」報告大会を開くことを決めた。
Kバッテリーの生態系育成に向けた官民協力案と共に、LGエネルギーソリューション、三星SDI、SKイノベーションのバッテリー3社の中長期的投資戦略などが発表される見通し 。
△政府のバッテリー産業人材育成および研究開発予算支援案、
△バッテリー産業インフラおよびインセンティブ案、
△バッテリー3社の次世代バッテリー研究開発および投資計画などが提示されるという。
「Kバッテリー産業の競争力確保のためのバッテリー3社の包括的協力メッセージが出る可能性もある」という。
バッテリー業界の関係者は、「電気自動車のバッテリー販売から管理サービス、エネルギー貯蔵装置(ESS)などの再使用・リサイクルまで多様な事業分野で新規市場を創出し、付加価値を高められる多様な戦略が発表される見通しだ」と語った。
2020年の車載電池シェアは次の通り。
SK Innovation と LG Chemは、特に米国で、車載電池の特許紛争で争ってきた。
LG Chemは2019年4月30日、SK InnovationがLG技術者を採用することにより、リチウムイオン電池技術を盗用したとし、LGの米国子会社と共同で米国ITCとDelawareの連邦地裁に提訴したと発表した。
SK InnovationがLGのリチウムイオン電池部門の77人の高度の技術と経験を持つ従業員を雇用し、LGの企業秘密を取得したと主張した。ITCは2020年2月10日、SK InnovationがLG Chemの営業秘密を侵害したと判断し、関税法第337条の違反を適用し、営業秘密を侵害したバッテリーと部品に対する「アメリカ国内への輸入禁止10年」を命じた。
特許権侵害については、LG Chemは2019年9月にSK Innovation をITCに提訴したが、ITCは3月31日、SK側の主張を認める仮決定を下した。
また、SKがLGをITCに提訴した特許権侵害訴訟に関しては、LGがこの訴訟を却下することを求めていたが、ITCは4月2日、LG側の要請を棄却した。
ITCは上記の営業秘密侵害については、事実上の猶予期間を設定し、LG Chemとの和解を促した。
ITCの2月10日の「輸入禁止」の決定は、大統領の60日間のレビュー期間がある。
SKは3月30日、Biden大統領が60日間のレビュー期間内 (4月11日まで)にITCの判断を覆さない場合、米国から撤退し、欧州か中国に移転すると発表した。
両社は、Biden大統領が最終判断を下す期限の数時間前に和解した。
和解条件は次の通り。
SKはLGに対し、18億ドル(両社の主張額のほぼ中間)を支払う。うち9億ドルは現金、残り9億ドルは売上高の数%相当のロイヤリティで支払う。
SKとLGはともに、国内外の全ての訴訟を取り下げ、今後10年間互いを訴訟しない。
2021/4/13 SK Innovation と LG Chem、車載電池の特許紛争で和解
今回、車載電池分野で争ってきたSK Innovation と LG Chemとの和解を受け、Samsung SDI を含めた3社を国が支援し、韓国勢でCATLやパナソニックを抑えて主導権を握ろうとするものである。
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