英国日産、電気自動車と電池の増設プロジェクト発表

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日産英国法人は7月1日、世界初の電気自動車(EV)生産のエコシステムを構築するハブとして10億英ポンド(1536億円)の新たなプロジェクト Nissan EV36Zero を発表した。

既存のSunderland工場を中心にカーボンニュートラルへの取り組みを加速させ、ゼロ・エミッション実現に向けて、新たに360度のソリューションを確立するとしている。

このプロジェクトでは、日産とパートナーの電池メーカーEnvision AESC、そしてSunderland 市議会によって10億英ポンドが投資され、「新世代のクロスオーバーEV」、「次世代EV用バッテリーの生産」、「再生可能エネルギー」という相互に関連した取り組みによって実現される。

日産は最大423百万英ポンドを投じて新世代完全電動化クロスオーバー車を生産する。ルノー日産三菱アライアンスの「CMF-EV」プラットフォームをベースとし、最大で年間10万台の生産を計画している。
グローバルカーとして設計され、欧州市場にも輸出される。

日産の強みのクロスオーバー車に対するノウハウと、世界で「LEAF」を50万台以上販売してきた実績をもとに、新たな時代にふさわしいスタイリングと効率性、バッテリー技術を備え、ユーザーのEVへの乗り換えを促進する。

CMF-EVプラットフォームは、日産の新型EVの「ARIYA」に初採用された。

重量物であるバッテリーを車体中央に配置し、低重心かつ前後の重量配分が均等になるように設計されたプラットフォームで、バッテリーケース内にクロスメンバー(車体の剛性や強度を向上させるための部材)を配し、フロアトンネル(車室内のフロアの中央部にある、大きなトンネル状の突起)が無いフラットなフロアによって、高い剛性を追求する。
組み合わされるサスペンション部品にも高剛性部品を使用するなど、操縦安定性能を向上させるだけでなく、揺れにくい快適な乗り心地と高い静粛性も追求している。

現在、Sunderland工場では、「LEAF」に加え、スポーツタイプ多目的車(SUV)の「JUKE」と「Qashqaiキャシュカイ)」も生産し、約70%を欧州諸国に輸出、約20%を英国内で販売、約10%を南米、オーストラリア、北欧、南アフリカなど、世界各地の市場に輸出している。

2020年12月24日に英国とEUが合意した自由貿易協定(FTA)では、原産地規則を満たす場合には自動車への関税10%が免除される。日産はEnvision AESCが英国で生産する電池を使用するため、欧州での関税はかからない。

増設分の自動車に輸入の電池を使う場合には関税がかかることとなるため、今回、増設自動車分の電池を英国で生産、引き続き免税となる。

パートナーの電池メーカーEnvision AESCが能力9GWh の英国初の gigafactoryを日産工場に隣接するInternational Advanced Manufacturing Parkに建設し、再生エネルギーを使用し、次世代バッテリー技術で年間10万台分の電池を生産し、供給する。

新工場では、航続距離と効率性を向上させるためにエネルギー密度を30%向上させた新しい第5世代のバッテリーセルを採用するなどし、英国で生産されるEV用バッテリーのコスト競争力を高める。

Envision Groupは、統合AIoT スマート技術(Artificial Intelligence & Internet of Things:人工知能とモノのインターネットの統合)で新しいGigafactoryのエネルギー消費、生産、メンテナンスを監視、最適化する。

なお、Envision AESCは、2030年までにバッテリー工場に追加で18億英ポンドを投資し、生産能力を25ギガワット時に引き上げ、4500人の新規雇用を創出する可能性がある。

Envision AESCはかつての日産とNECのJVのAutomotive Energy Supply Corporation で、両社は2018年8月に再生可能エネルギー事業者である中国のEnvision Group遠景能源集団)に譲渡する契約を締結した。

売却するのは、日産とNECのJVのAutomotive Energy Supply Corporation AESC)や北米日産が保有するSmyrnaのバッテリー生産事業、英国日産が保有するSunderlandのバッテリー生産事業及び日産の追浜や厚木、座間にあるバッテリーの開発や生産技術部門

日産自動車はEnvision Groupが本買収で設立する新会社の株式の25%を保有する。

2018/8/7 日産自動車とNEC、バッテリー事業を譲渡

Sunderland 市議会は、100%再生エネルギー電力 'Microgrid' を担当する。日産の既存の風力、太陽光発電に加え、10個の太陽光発電をつくり、132MWの発電を行う。


本計画で、サプライヤーを含め英国内で6200人の雇用を創出する。(うち、日産で900人、Envision AESCで750人が新規に採用される。)

ジョンソン英首相は「英国とその北東部の高スキル労働者に対する大きな信頼の証だ」と評価した。

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