興和、 新型コロナウイルス感染症患者を対象としたイベルメクチンの臨床試験を開始

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興和は7月1日、新型コロナウイルス感染症患者を対象にイベルメクチンを投与する臨床試験を開始すると発表した。

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大村智博士がノーベル医学・生理学賞を受けた抗寄生虫薬の「イベルメクチン」がCOVID-19に効果があるとする報告が出た。

2020年4月29日付のSSRN(旧称 Social Science Research Network) に "Usefulness of Ivermectin in COVID-19 Illness" というタイトルで報告された。

イベルメクチン(ivermectin)は腸管糞線虫症の経口駆虫薬、疥癬、毛包虫症の治療薬である。

アフリカや中南米では、全身の皮膚にかゆみを起こし、視力を奪われる河川盲目症(オンコセルカ症)という寄生虫による感染症が流行していた。
1970年代には35の発展途上国で8500万人が感染の危機にあった。

Merck & Co., Inc.(米国とカナダ以外では独のMerck と区分さるため MSDの社名を使用)のDr. William Campbell 治療薬の開発を進めていたが、大村智・北里大特別栄誉教授が静岡県伊東市内のゴルフ場近くで採取した土壌から見付けた新種の放線菌「ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」(Streptomyces avermitilis)が生産する物質を元にイベルメクチンをつくった。

イベルメクチンは、河川盲目症(オンコセルカ症)に加え、象皮病にもなるリンパ系フィラリア症、世界で数千万人が感染しているとされる糞線虫症(糞線虫が消化器官に寄生する寄生虫感染症)などにも効果があるということが分かった。

大村智特別栄誉教授とDr. William Campbell は2015年にノーベル医学・生理学賞を共同受賞した。

日本ではMSDが、腸管糞線虫症および疥癬用に商品名ストロメクトールで製造、マルホが販売する。

2020/4/27 「イベルメクチン」新型コロナに効果か

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イベルメクチンの新型コロナウイルス感染症に対する臨床試験世界各国で実施されている。

英国ではオックスフォード大学の研究者たちが、通常の治療法と成果を比較する臨床試験に入った。

アジアではその高い効果に注目が集まり、一部地域では需要が殺到している。東南アジア地域の一部医療関係者が「奇跡の治療薬」と称賛しているほどだと報じられている。

インドネシア、マレーシア、フィリピン、インドなどで適応外使用が進んでいる。

米国でもFDAはコロナ治療で利用を承認していないが、個人の選択において適応外使用が行われている。但し、慎重な声もある。

WHO、FDA、米感染症学会のいずれもが、現段階では治験を除き、イベルメクチンをコロナに適用しないよう勧告している。

イベルメクチンは比較的安全だが、血液凝固剤などの薬と薬物相互作用を起こす可能性があるほか、過剰摂取による嘔吐や昏睡などの危険があると指摘する 声がある。

日本において企業が主体となった臨床試験は行われていない。

Merck & Co., Inc.は国内で子会社MSDがイベルメクチン を製造するが、適応拡大に向けて動いていない。 同社は2021年2月4日、イベルメクチンを新型コロナウイルス感染症治療に使う可能性について、データを検証したところ、安全性と効果は示されなかったと発表、寄生虫病の治療以外の用途で使用すべきでないと警告した。

そのなかで興和は、北里大学大村智記念研究所 の大村智特別栄誉教授より直接、興和での本臨床試験実施に関する依頼を受け、本臨床試験実施を決断した。北里大学大村智特別栄誉教授、花木秀明教授、愛知医科大学・三鴨廣繁教授ならびに東京都医師会協力の下、イベルメクチンの新型コロナウイルスに対する臨床効果を早急に確認し、早期に治療薬実用化を目指す。

治験の方法や開始時期は、医薬品の審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議して決めるが、現段階では、東京、大阪、名古屋などで陽性判明から3日以内程度の患者約1千人を対象に 、「二重盲検」で実施する予定で、「一刻でも早く始めたい。年内の治験終了をめざす」としている。

イベルメクチンを投与される処置群と、プラセボを投与される対照群に分け、処置群と対照群は無作為に選択するが、医師にも患者にも知らさない。

但し、プラセボを投与される患者は、イベルメクチンを投与されておれば治ったのにプラセボを投与されたために亡くなるという可能性もあり、倫理上問題であるため、北里大と興和では医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議して方法を決めたいとしている。

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なお、北里研究所とMeiji Seikaファルマは6月9日、次世代型イベルメクチン誘導体によるCOVID-19に対する画期的治療薬創出と抗ウイルス薬の基盤構築を目的とした共同研究開発を開始 すると発表した。

日本医療研究開発機構(AMED)の「本年度 医療研究開発革新基盤創成事業:第5回公募」に係る研究開発課題「次世代型イベルメクチン誘導体によるCOVID-19に対する画期的治療薬創出と抗ウイルス薬の基盤構築」として採択されている。

北里研究所は、感染症研究の伝統と実績を有し、北里大学大村智記念研究所は独創的な抗感染症薬の創製を目指している。Meiji Seikaファルマは、ペニシリン製造を皮切りに多くの感染症治療薬を上市した実績があり、現在も感染症領域を中心に研究開発を行っている実績を有している。


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