経済産業省は7月12日、総合資源エネルギー調査会の作業部会で、2030年時点の電源別の発電コストについて新たな試算を公表した。
電源を新設し、数十年稼働させて廃棄するまでにかかる費用を総発電量で割って算出した。
原発は1キロワット時あたり11円台後半以上で、前回試算より1円ほど高くなった。福島原発事故後も原発のコスト面の優位性を強調してきたが、 今回の試算では、太陽光、陸上風力、LNG火力よりも高くなり、前提が崩れることになる。
太陽光は、想定より導入が進み、設置費用が下がっていることを反映させた。
付記経済産業省は8月3日、電源別の発電コストの試算について詳しい数値を公表した。
原子力発電コスト試算の推移は下記の通りで、福島第一原発事故前の2004年試算の2倍となった。
コスト試算
増加理由
2004年試算 5.9円 2011/3/11 福島第一原発 事故 2011年試算 8.9円~ 廃炉、除染費加算 依然 最安値 2015年試算 10.3円~ 安全対策費増加 2021年試算 11円台後半~ 安全対策費増加 最安値でなくなる。
なお、2015年試算の内訳は下図の通りで、通常の資本費、燃料費、運転維持費に加え、追加的安全対策費、CO2対策費、事故リスク対応費、固定価格買取制度の創設による政策経費を含んでいる。
2015/5報告では2030年モデルのほかに2014年モデルの試算もしており、この場合は若干安く、10.1円となっているが、その内訳は下記の通り。
事故リスク対応費用、政策経費として立地交付金やもんじゅ等の研究開発費、核燃料リサイクル費用、追加的安全対策費などを含んでいる。
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