バイデン政権、2030年までに新車の半数以上を電気自動車と燃料電池車に

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バイデン大統領は8月5日、2030年までに販売される新車(乗用車と小型トラック)の50%以上を、電気自動車(バッテリー式電気自動車とプラグインハイブリッド車)と燃料電池車(FCV)とする大統領令を発令した。

Policy. America must lead the world on clean and efficient cars and trucks. That means bolstering our domestic market by setting a goal that 50 percent of all new passenger cars and light trucks sold in 2030 be zero-emission vehicles, including battery electric, plug-in hybrid electric, or fuel cell electric vehicles.

注)プラグインハイブリッドは含まれているが、一般のハイブリッド車は含まれていない。

ハイブリッド車はガソリンエンジンとモーター(エンジン、回生で充電)を組み合わせたものだが、家庭電源から充電できるようにしてEV走行距離を伸ばすのがプラグインハイブリッド。
ハイブリッド車は「Zero emisstion vehicle」とはみなされない。
プラグインハイブリッドの場合、長距離をモーターだけで走行できる。

ホワイトハウスによると、今回の大統領令による目標が達成すれば、2030年に販売される新車からのGHG排出量を2020年比で60%以上削減できることから、2030年までに全米からのGHGネット排出量を2005年比で50~52%削減したいとするバイデン政権の達成目標を後押しする。

なお、欧州委員会は7月14日、温暖化ガスの大幅削減に向けた包括案を公表したが、ハイブリッド車を含むガソリン車など内燃機関車の新車販売について2035年に事実上禁止する方針を打ち出した。これについて自動車メーカーは「規制が厳しすぎる」として猛反発している。

米国の方針は新車の50%以上をゼロエミッションにするもので、ガソリン車は禁止しておらず、欧州とくらべ、ゆるいものである。民主党の多くの議員はもっと厳しい規制を望んでいるが、バイデン大統領は全米自動車労組(UAW)の反対を受けてそうした要求を拒んでいる。

カリフォルニア州知事は、連邦政府と協力して環境対策に努める意向を示した。
カリフォルニア州は2021年4月21日、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、メーン州、コネチカット州、ロードアイランド州、ワシントン州、オレゴン州、ニュージャージー州、ハワイ州、ノースカロライナ州、ニューメキシコ州とともに、2035年までに販売される全新車をゼロエミッション車とする方針を発表している。

大統領令にはまた、乗用車とライトトラックについて最低2030年までの新たな燃費基準を策定し、大型車は最低2027年までの同基準を設けるスケジュールが盛り込まれた。

米国の燃費基準の推移は下記の通りで、オバマ政権では54.5mpgの燃費規制を決めたが、トランプ政権は40.4mpgに緩和した。今回、これを戻す。

米国では、2011年1月に、2016 Model Year の Light-duty vehicleのCO2排出量を250g/mile、CAFE燃費を35.5 mpg(15.1km/L)とする規制が発効した。

2012 MY 2013 MY 2014 MY 2015 MY 2016 MY
Passenger Cars 33.8 34.7 36.0 37.7 39.5
Light Trucks 25.7 26.4 27.3 28.5 29.8
Combined Cars & Trucks 30.1 31.1 32.2 33.8 35.5

オバマ政権は2012年8月28日、54.5 mpg の燃費規制を正式に発表した。

Combined Cars & Trucks 燃費 mpg

2011/1規制

2012 2013 2014 2015 2016
30.1 31.1 32.2 33.8 35.5

2012/8規制

2020 2021 2022 2023 2024 2025
40.0 41.7 46.8 49.4 52.0 54.5
トランプ政権は2020年3月31日、米国の自動車排ガス規制を緩和する新たな規制基準を発表した。
各自動車メーカーが販売したクルマの平均燃費を2021~26年製車に毎年1.5%改善 (オバマ規制では毎年5%改善)し、CO2排出量は毎年1.5%ずつ低減させるとした。
最終年の2026年製車では、CAFE基準値をガソリン1ガロン当たり40.4マイル、CO2排出量を1マイル当たり199グラムとした。

今回(8月5日)、米環境保護局(EPA)は自動車の新たな燃費基準案を公表した。トランプ前政権が緩めた基準を再び強化する。意見募集などを経て確定させる。 

対象は2023~26年型の乗用車と小型トラック。
2023年型については、前年から約10%の燃費改善を求める。2026年までに52mpgを目指す。
2024~26年型については、改善幅はそれぞれ同約5%とする。

但し、2021~2022年型については、トランプ規制値のままとし、変更しない。

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