米上院は7月28日、超党派議員グループとホワイトハウスがこの日合意したばかりの5500億ドル(約60兆3400億円)規模のインフラ包括案の審議入り動議を可決した。バイデン政権の経済政策実現に向けた大きな一歩となった。
採決結果は共和党の一部が賛成し、賛成67、反対32となり、同案の上院通過の可能性がある 。上院は8月9日から長期の夏期休会に入るため、8月2日の週に採決が行われると予想される。
共和党 | 民主党 | 民主系 無所属 |
合計 | |
賛成 | 17 | 48 | 2 | 67 |
反対 | 32 | 32 | ||
棄権 | 1 | 1 | ||
合計 | 50 | 48 | 2 | 100 |
バイデン大統領はで、「この合意は米国の民主主義が正常に機能し、大きな事を実現・実行できるということを世界に示す」とし、「21世紀の世界経済において中国などとまさに競争を繰り広げる上で、米国の競争力確保に寄与する」と指摘した。
付記 上院は8月10日、これを可決した。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 19 48 2 69 反対 30 30 棄権 1 1 合計 50 48 2 100
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バイデン米大統領は6月24日、8年間で1兆2000億ドル規模のインフラ投資計画で超党派の上院議員と合意したと発表した。
新規投資として 交通インフラに3120億ドル(当初計画 6210億ドル)、その他インフラに2660億ドルの合計5790億ドルを見込んだ。
これにBaselineのもの5年間で3940億ドル、8年間で6300億ドルを加え、5年で合計9730億ドル、8年で12090億ドルとした。
研究開発や製造業支援などの人的インフラ投資はすべて省かれた。与党・民主党は成長戦略の残る部分について、特例を使って単独で可決することを視野に入れている。
財源は、徴税の強化やコロナ対策予算の使い残し分などから捻出する。法人税率引き上げなどの増税案は、野党・共和党の強い反対で除外された。
2021/6/29 米政権、インフラ計画で超党派と合意するも、最終決着は難航予想
米上院は7月21日、このインフラ投資法案の審議開始に向けた動議の採決を行ったが、共和党からの賛成は得られず、否決された。
財源問題がなお解消されていないことから、共和党側からは審議入りに向けた採決の延期を求める声が上がっていたが、上院民主党トップのシューマー院内総務が予定通り実施に踏み切った。
しかし、シューマー氏自身が土壇場で、将来において投票を再考できる上院の規定を指摘し、賛成から反対に回り、賛成49、反対51だった。(審議開始には60票が必要)
これを受け、超党派議員グループとホワイトハウスが協議を行い、7月28日に修正案で合意した。
同計画の新規支出規模は5,500億ドルと、当初提案時の5,790億ドルから若干縮小されている。
道路・橋など大型プロジェクト:1100億ドル
電力網の改修:730億ドル
鉄道・アムトラック改善:660億ドル
ブロードバンド普及:650億ドル
飲料水の水質改善:550億ドル
交通・輸送:390億ドル
港湾:170億ドル
空港:250億ドル
電気自動車充電施設:75億ドル電気自動車インフラや電気バス等の予算は前回から大きく削られた。
財源については、歳入庁(IRS)の徴税強化が共和党の反対により削除され、未使用の失業保険給付金の活用と、2020年の新型コロナウイルス対策の余剰金などが財源になると思われる。
法人税増税は前回案と同様、含まれていない。
動議に 反対票を投じた共和党議員は、「議会は財源も確保されていない巨額の支出を続けられない。きょう発表されたインフラ包括案は議会の常軌を逸した赤字支出の傾向を継続させるものだ」と指摘した。
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