新型コロナウイルスに関する長尾医師の提言

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新型コロナウイルスの扱いを、現在の感染法上の「新型インフルエンザ等感染症(2類相当以上)」からインフルエンザと同じ「5類」に引き下げる案が厚労省で議論されていると報じられている。

「新型インフルエンザ等感染症」の場合、無症状者も含めた入院勧告や外出自粛の要請、都道府県による経過報告、感染経路の調査などの措置が講じられる。

感染が疑われると判断された場合には、新型コロナウイルス感染症の検査を受け、陽性と判断されると、一般の医院の手を離れ、保健所が取り扱う。
疫学調査を行い、濃厚接触者を調査し、重症化リスクの高い患者に限定して入院先を決め、軽症者等は宿泊療養・自宅療養で対応する。

感染者が増えるにつれ、保健所の機能は麻痺しつつある。入院先が限定されるため、重症者でも入院先がみつからず、自宅療養者が重症化し、死亡する例も出てきた。
コロナ以外の患者の治療に支障が出てきつつある。

新型コロナが季節性インフルエンザ並みに軽症だというわけではなく、現在の体制をこれ以上は続けられないという考えである。

これに対し、反対論が沸き起こっている。


しかし、新型コロナを「2類相当以上」にしたのがそもそも問題であり、直ちに「5類」に引き下げるべきだとする医師の発言が注目を浴びている。

尼崎市の長尾クリニックの長尾和弘医師で、
 1) インフルエンザ並みの5類に変更せよ、
 2) 治療薬イベルメクチンを「スガノメクチン(菅のメクチン)」「スガルメクチン(メクチンに縋る)」として
   国民全員に配布せよ
と主張する。

日新聞の医療プレミア特集が8月9日付で長尾医師のインタビュー記事「新型コロナ 自宅療養で命を失わないために必要なこと」を掲載した。

8月10日のBSフジ プライムニュース「逼迫する医療現場 大学医師会開業医 医療制度の課題を検証 」に出演し、自説を述べた。
  他に、大学からは田中雄二郎・東京医科歯科大学学長、医師会からは尾崎治夫・東京都医師会会長が出演した。

8月12日の読売テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」にリモート出演した。

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感染法分類


新型コロナは感染症法分類で「新型インフルエンザ等感染症」に指定され、2類感染症以上の強い対策をとる。
具体的には、外出自粛の要請や入院勧告、指定医療機関への入院などで、無症状者についてもこうした措置を適用することができる。

全て保健所が管理するが、患者が増えれば、保健所の業務も増えて対応は遅くなる。実際には入院できず、自宅待機が急増している。

保健師は医師ではないため、重症化リスクの判断はできない。このため、入院調整までの間に亡くなる例が出ている。

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長尾医師の主張:

尼崎市の長尾クリニックは、外来診療(内科、消化器内科、循環器内科、整形外科、もの忘れ外来、乳腺外来、禁煙外来)と在宅医療(訪問診療、往診、訪問介護、リハビリ、ケアマネジャー)を扱い、年中無休(日曜・祝日の午後のみ休診)で診療している。

昨年4月から約450人のコロナ患者を診断し、約200人のコロナ患者の在宅療養に関わってきた。全員に24時間いつでも連絡を取れるよう携帯番号を教え、必要なら往診をしたり、訪問看護師に点滴などを依頼したりした。

初診時に血中酸素濃度が60%という重症呼吸不全の患者が2人いて、1週間後に入院できたが、自宅療養中は大量のステロイド剤を投与する治療法など懸命の治療に取り組み、2人とも救命できた。入院できずにすべて自宅で治療し回復した人も約100人いる。

在宅管理をした約200人のコロナ患者では、コロナで亡くなったという死亡診断書を書いた人は一人もいない。

コロナと診断した人約450人全員に、診断直後から重症度に応じた治療を開始してきた。CTで肺炎があれば、すぐにステロイド剤やイベルメクチンを投与、血中酸素濃度が93%以下なら、その日のうちに在宅酸素を設置した。

医療が逼迫しているなら、ハイリスクの人が確実に入院できる体制を整え、軽症者は隔離期間とされる10日間、在宅の主治医をつけて自宅で管理するという方向性は間違っていない。

政府が、重症者や重症化リスクのある人以外は自宅療養を基本とするという方針を出し、最終的には「中等症以上は原則入院」となったが、「自宅療養」ではなく「在宅医療で治療します」と言うべき だった。
自宅療養の全員に在宅医をつけ、隔離する10日間は、24時間管理を保証して、薬も入院と同様に使えるようにすれば、入院しているのと変わらない医療を受けられ る。

早期発見、即治療」 をやれば、重症化せず、治る。「2類以上相当」にしたために、これが出来ず、重症化患者が増え、自宅待機の間に死亡する事例も出る。

現状は感染症法上は保健所が指揮を執る病気で、民間医が診てはいけないのかもしれないが、患者や家族から「入院できない。診てほしい」という電話がたくさんかかってくる。
医師には、医師法で定められた「応召義務」があるため、対応している。

医師法第19条第1項 「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」


大村
智博士が
ノーベル医学・生理学賞を受けた抗寄生虫薬の「イベルメクチン」がCOVID-19に効果があるとされている。

イベルメクチンの新型コロナウイルス感染症に対する臨床試験は世界各国で実施されている。

アジアではその高い効果に注目が集まり、一部地域では需要が殺到している。東南アジア地域の一部医療関係者が「奇跡の治療薬」と称賛しているほどだと報じられている。

米国でもFDAはコロナ治療で利用を承認していないが、個人の選択において適応外使用が行われている。

日本では製造メーカーのMerck & Co., Inc.子会社 MSDが、腸管糞線虫症および疥癬用に商品名ストロメクトールで製造、マルホが販売する。

Merck & Co., Inc.は適応拡大に向けて動いていない。同社は2021年2月4日、イベルメクチンを新型コロナウイルス感染症治療に使う可能性について、データを検証したところ、安全性と効果は示されなかったと発表、寄生虫病の治療以外の用途で使用すべきでないと警告した。

そのなかで興和は、大村智特別栄誉教授より直接依頼を受け、本臨床試験実施を決断した。7月1日、新型コロナウイルス感染症患者を対象にイベルメクチンを投与する臨床試験を開始すると発表した。

2021/7/10 興和、新型コロナウイルス感染症患者を対象としたイベルメクチンの臨床試験を開始 

中外製薬の「抗体カクテル療法」が承認され、初期の患者に効果があるが、供給量が限られている。


「これまで本人の承諾を得て100人くらいに投与している。治験中だがコロナ患者には適用外処方で使用できる。 最初の診断時に処方している。軽症者には非常によく効く。」

一般の病院では入手困難という。同クリニックは疥癬を扱っているため、入手できている。
(上記のMerck & Co., Inc.の警告を受け、MSDが供給を本来の目的に限定している可能性がある。)

「廉価で使えるイベルメクチンが広く行き渡る措置を取るように菅総理にもお願いしたい。『アベノマスク』のように、『スガノメクチン』(菅のメクチン)、『スガルメクチン』(メクチンに縋る)として国民全員に配布してほしい。」

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東京都医師会は8月13日、緊急の会見を開き、改めて感染対策の徹底を呼びかけた。

そのうえで、「保健所の機能がストップ状態に近くなっている」とし、自宅療養中の新型コロナウイルス感染者に対する診療体制を強化すると発表した。

東京都と連携し、保健所からの連絡が来るまでの間、診断した医療機関が健康観察を担う。往診専門医や訪問看護と連携した24時間の見守り体制を拡充する。

自宅に療養していて保健所などが医師の診察が必要だと判断した人について、オンラインで医師が診療する新たなシステムを導入する。

尾崎会長は「保健所の機能の肩代わりもやっていかざるをえないと思う。入院が必要と思った時に必ず入院や宿泊療養につなげられる仕組みをしっかり作っていきたい」と述べた。


発表資料は下記の通り。

保健所の機能不全を受けて、医療機関による自宅療養者の見守り、治療を実施するもので、特にイベルメクチンの効果を強調している。

尾崎治夫・東京都医師会会長は、BSフジ プライムニュースに長尾医師と一緒に出演しており、現時点で出来る範囲で(5類に変更せずでも出来る範囲で)長尾医師の主張(早期発見・即治療、病診連携、イベルメクチンの使用)を取り入れたと見られる。

付記

尾崎会長は9月7日の毎日新聞夕刊で以下のように述べている。

「コロナ医療で、使える薬を増やすことが大事。日本製ワクチンの開発にも期待しているけど、有効性が期待される既存の治療薬を日本でも使えるようにすべきだよ」。
例に挙げたのがイベルメクチンである。寄生虫によって失明するオンコセルカ症などの治療薬で、インドや南米ではコロナの治療薬として使われている。専門家の間ではコロナ治療への使用の賛否が割れ、日本ではまだ認められていないが、国内の製薬企業による臨床試験が近く始まる。
尾崎さんは「海外では実際に有効性を示すリポートも多数出ているし、治験に並行して現場で使えるような道も探っていきたい」との立場だ。

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