武田薬品、Shire関連で税務費用を引当

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米国の製薬会社で、2013年初めに米Abbott Laboratoriesからスピンオフして誕生したAbbVie Inc.は2014年7月18日、Shire Pharmaceuticals 買収で合意した。
当初の提案が拒絶されたことから、買収金額は従来の総額約270億ポンドから約310億ポンドに引き上げられた。

しかし、AbbVie は10月15日、Shire Pharmaceuticals 買収を撤回すると発表した。
米政府が9月22日に節税目的の本社移転の抑制を狙った新規則を発表したため、国外に会社を設立することを含む買収効果が不透明になったと判断した。

AbbVie は違約金として約16億3500万ドルをShire に支払う

2014/10/20 買収・合併による節税目的の海外移転禁止の動き強まる   

武田薬品は2019年1月4日、アイルランドの製薬大手Shire plc 買収に関して英ジャージー裁判所の認可を取得したと発表した。

2019/1/5 武田薬品、1月8日にShire plcの買収完了へ 


Shireは2018年11月28日、アイルランド歳入庁から上記の受取違約金16億3500万ドルに対する398百万ユーロの課税通知を受領した。

武田薬品はこれについて、アイルランドに違約金を課税所得に含める規定や判例がないとし、
アイルランド税務不服審査委員会に異議申し立てを行った。2020年の年末ににおいてヒアリングが行われた。

同委員会は2021年7月30日、アイルランド歳入庁の見解を支持する裁定を出した。

武田としては本裁定について、アイルランド裁判所への控訴を含め、可能なあらゆる法的手段を以って異議を申し立てるが、財務上、この税務費用を引当計上する。

引当額は、2021年6月30日までの未払利息を含め、現時点で約630億円と見込んでいる。

受取違約金は明らかな利益であり、通常は、これを非課税とする理由はない。Tax Haven としてのアイルランドの税務規定がどうなっているのかによる。

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