米ノースカロライナ州 Durhamの医療機器メーカーのEmitBioは9月1日、発光ダイオード(LED)の光で気道の組織にある新型コロナウイルスデルタ株99.9%を除去したと発表した。
同社は2021年1月に新型コロナウイルスやMERS-CoV、3月にアルファ型やベータ型変異ウイルスに効果があることを発表している。
同社は2021年2月にFDAにemergency use authorization (EUA)を申請した。
EmitBioは、呼吸器感染症を治療する方法を変える画期的な医療機器を開発しているライフサイエンス企業で、LEDの正確な単色波長を使用して、侵入する病原体を排除し、体内の宿主防御を刺激する方法を発見した 。
EmitBioはKNOW Bio, LLC.の子会社で、他の子会社もユニークな開発を行っている。
Vast Therapeutics:耐性菌を処理し、重度の呼吸器疾患に苦しむ患者 のための治療法を開発
Revian:唯一のFDA認可のオールLED脱毛治療
Diabetic Health(2019年買収のClinical Sensors, Inc, を改称):Nitric oxide release technologyによる糖尿病治療法
LEDが発するさまざまな周波数の光で免疫応答を刺激するために行っていた研究から生まれた。 Covid-19のパンデミックが発生したとき、実験室で育てたヒトの肺組織で、病気の原因となるウイルスであるSARS-CoV-2に何らかの影響を与えるかどうかを調べる実験を開始した。
今回、気管支組織での新型コロナウイルスのデルタ変異株のIn Vitro中和研究で、3日間、1日2回の処理で、組織にダメージを与えずにデルタ株ウイルスを99.9%削除した。全ての他の変異株のラボでのテストでも効果は変わらなかった。
ヒトを対象とした最初のテストで、軽度~中度の成人で唾のなかのウイルスを99.9%減らし、症状が治る時間を2日以上短縮した。これは、変異型に関係なく有効であるとする。
EmitBioの技術を使用した研究用機器(まだ外販していない)で、特定の波長の安全な可視光を喉の奥と周辺の組織に当てる。機器は自分で自宅で使用できるようデザインされている。
同社では、「LEDは、特定の周波数だけを選んで使用する」とし、「患者の鼻の奥やのどにLEDの光を当てると、ウイルスを殺し、免疫反応を促進する」と説明した。また、「特に軽症患者に効果的」とし「LED治療は自宅でも十分に受けることができる」と述べた。
なお、EmitBioの親会社のKNOW Bio, LLC.は2020年9月10日、一酸化窒素(NO)が新型コロナウイルス対策に3つの点で有効であることが分かったと発表している。
1)スパイクタンパク質の結合を変化させ、ウイルスが受容体に付着してヒト細胞に感染する能力を破壊することにより、コロナウイルス感染を抑制
2)ウイルスRNAの産生を遅らせることにより、感染細胞内でのコロナウイルスのウイルス複製を阻害
3)カスパーゼ活性を妨害することにより宿主細胞死を防ぎ、複製されたウイルスの放出を阻害。複製されたウイルス粒子は感染細胞内に残り、拡散するウイルス粒子は少なくなる。
EmitBioは、LEDが直接ウイルスを殺すほか、LEDの光が人体で一酸化窒素(NO)の生産を促進し、体内に入ったウイルスが働くのを阻害するとしている。
一酸化窒素の効果については既報の下記を参照
2021/1/14 COVID-19の治療に一酸化窒素の鼻スプレイ
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