米民主党の増税案

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米下院歳入委員会の民主党メンバーは9月13日、一連の増税案を発表した。10年間で3.5兆ドル規模の予算の財源となる。

(経緯)

バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドルを投入する新たな計画 American Jobs Plan を発表した。

2021/4/2 バイデン大統領、American Jobs Plan 発表、8年間で2兆2500億ドル投資

この計画は最終的に2つに分けられた。

  ①5500億ドル規模のインフラ包括法案 
  ②10年間で3.5兆ドルの予算(予算決議→財政調整法=予算)

米上院は8月10日、5500億ドル規模のインフラ包括法案を賛成69、反対30で可決した。
下院ではペロシ議長が、超党派のインフラ投資法案を9月27日までに採決すると約束した。(当初は3.5兆ドル予算を通してからとしていた)

政府と民主党は、これから除外された教育や子育て支援、気候変動対応などの10年間で3.5兆ドルの予算を予算決議案(上院で多数決で議決可能)の形で提案した。

民主党は8月9日、3兆5000億ドル規模の法案の概要を明らかにした。下記が含まれている。

「クリーン」な製造業向けの税優遇措置 1980億ドル
全ての3─4歳児への幼児教育提供やコミュニティーカレッジ(日本の短大)の無償化に約7260億ドル、
安価な住宅に3320億ドル
数百万人の移民労働者に市民権獲得への道を開く措置など

3兆5000億ドルの費用は、増税、連邦医療保険制度の節減、長期的に見込まれる経済成長によって全額賄われると想定している。

増税は富裕層を対象とし、年収40万ドル以下は対象とならない。米内国歳入庁の徴税強化も併せて実施する。輸入品に炭素価格を賦課する措置も求めている。

2021/8/11 米上院、5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決、下院採決時期は不透明 

上院は8月10日、3兆5000億ドル規模の予算決議を50対49の賛成多数(民主党のみの賛成)で可決した。
下院は8月24日に可決した。

予算決議では、決議に基づき具体的な税制・支出法案を策定する委員会の期限を9月15日に設定している。

民主党内にも増税や財政膨張を懸念する議員は多く、修正が必要となる。

2021/8/26 米下院、3.5兆ドルの予算決議案を可決

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今回の案は、予算決議に基づく具体的な税制法案のベースである。

共和党は増税反対である。民主党は増税案を盛り込んだ歳出法案の単独での可決を目指すが、規模や内容を巡り党内に異論があり、修正は避けられない情勢 である。 (上院は50:50であり、民主党内で1人でも反対すれば通らない。) 

下院歳入委員会のニール委員長(民主党)が示した増税案は次の通り。

 法人税 (現行 21%):

年間利益が500万ドル超の企業 26.5%
500万以下~40万ドル超 21%
40万ドル以下 18%

 多国籍企業の海外収益に対する最低税率: 現行10.5% →16.5%

 所得税:増税は富裕層を対象とし、年収40万ドル以下は対象とならない。

年収40万ドル超の最高税率  現行 37%→39.6%
年収500万ドル超            42.6%

 キャピタルゲイン課税最高税率 現行 20%→ 25%

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バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドルを投入するAmerican Jobs Plan を発表したが、財源として、増税を発表した。

現行で21%の法人所得税率を28%に引き上げる。各国が行っている税率引き下げ競争を米国は止める。
キャピタルゲイン税最高税率を現行20%から39.6%に引き上げる。
Tax Haven 国への本社移転で税回避するのを防ぐため、種々の対策を折り込むとした。 

この時点で、28%は無理というのが一般的で、大統領も「進んで耳を傾ける。条件を付けずに臨む」と述べ、妥協に前向きな姿勢を示した。双方にとって受け入れ可能な25%程度で折り合うと予想されていた。

2021/4/2 バイデン大統領、American Jobs Plan 発表、8年間で2兆2500億ドル投資 

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