中国の反ダンピング・反補助金調査の状況

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中国の反ダンピング・反補助金調査の状況をまとめた。 一覧表   詳細

中国は1997年に対外貿易法のダンピング防止及び相殺関税防止条例を施行、同年12月に韓国・米国・カナダからの輸入新聞用紙の反ダンピング調査を開始、1999年6月にダンピングと被害を確定し、課税を行った。

2001年12月11日にはWTOに加盟している。(143番目)

以下、反ダンピング調査についてまとめた。一覧表、詳細には反補助金調査の状況も記している。

反ダンピング調査については、これまでに最審査を含め120件(当方調査)あるが、調査中が4件である。

確定分116件のうち、99件がクロの最終決定を受け、ダンピング課税を受けている。
その場合、仮決定(保証金名目でダンピング税を支払う。シロなら返却)から5年で終了するが、大部分が延長審査を受け、その結果、課税が延長されている。

なお、99件のうち、2件はWTOの裁定で課税が取り消され、1件は行政再審法での最審査で取り消されている。

X線セキュリティチェック機については、WTO紛争処理小委員会は、WTO反ダンピング規定に違反するとの判断を下した。中国は再審査を始めたが、最初の申請者が取り消しを要請したため、調査継続は不要と判断、課税を終止した。

ステンレス鋼管については日本がWTOに要請、WTOの最終審に当たる上級委員会は、中国国内には同じような高性能の製品を作る競合する企業はないので、中国の産業に損害を与えているとは言えないなどとして、日本の主張を認め、中国に対し、追加の関税を撤廃するよう是正を勧告した。中国は再調査をしたが、申請者が要請を取り消した。

無漂白クラフト紙について、行政再審法(1999/10/1発効)に基づき米国企業が再審を要請、商務部が再審の結果、当初の決定がアンチダンピング法に合致しないとして、取り消した。

EUのワインについては、EUとの和解で調査を取り消した。これはEUによる中国製太陽光パネルに対するダンピング課税への対抗である。

2013/7/5   中国、EU原産の輸入ワインで反ダンピング&反補助金調査を開始
2013/7/28  EUと中国、太陽光パネルダンピング問題で和解
2014/3/26  中国とEU、欧州産ワインのダンピング問題で和解

米国のコーリャン(白酒の原料、飼料)については、クロの仮決定を行ったが、需要業界から、ダンピング課税によりコストアップとなり、消費者の生計費が上がるとの声があがり、課税を取り消した。

その他、ダンピングがあっても被害がないのが6件、ダンピング率が2%未満のものが1件、提訴取り下げによる調査取り止めが8件ある。

  件数  品名の前の番号は一覧表の番号
ダンピング税を徴収  99   
同上のうち

WTO違反で取り消し ( 2) 60. X線セキュリティチェック機(EU)、66. ステンレス鋼管(EU・日本
行政再審法審査で取り消し ( 1) 28. 無漂白クラフト紙(米、韓、タイ、台
相手国と和解 1 80. ワイン(EU)
課税が悪影響のため取り止め 1 105. コーリャン(米)
損害なし裁定で調査取り止め  6 7. PS (日、韓、台)、 8. リジン(韓、米、インドネシア)
40. オクタノール(日本ほか)、41. ブタノール(日本ほか)
108.
Vertical Machining Center (日、台)、118 PVC(米)
ダンピング率が2%未満で調査終了   1 25. ナイロンフィラメントヤーン(台湾)
輸入量が少量のため調査終了(No.78部分的) - 78. 高性能合金鋼シームレス鋼管(日本)(米・EUは課税)
提訴取り下げで調査取り止め   8 21. 30. 32. 49. 65. 67. 84. 111
調査中:暫定反ダンピング措置  3 113. 115. 117
調査開始  1 110.
計(30-2、32-2提訴取り下げ後、再審)  120


参考 反ダンピング・反補助金の決定は中国商務部のホームページで発表されている。

    http://file.mofcom.gov.cn/article/gkml/

 

 

 

 

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