米議会上下院は9月30日、10月1日から始まる2022会計年度の一部資金を手当するつなぎ予算案を可決した。
米下院は9月21日、本年12月3日までのつなぎ予算と、連邦政府の債務上限の適用を2022年12月16日まで凍結する措置を一体化した民主党提出の法案を可決した。
しかし、上院共和党は9月27日、この法案を本会議で採決することを否決した。60票が必要だが、共和党、民主党から各1議員が棄権したほか、民主党の1議員が反対にまわった。
2021/9/23 米下院、つなぎ予算・債務上限凍結一体化法案を可決
つなぎ予算については、9月30日までに通さないと政府機関閉鎖となる。
このため、つなぎ予算と連邦政府の債務上限凍結を切り離し、まず、つなぎ予算を通すこととした。
9月30日にまず、上院が可決した。
共和党 | 民主党 | 民主系 無所属 |
合計 | |
賛成 | 15 | 48 | 2 | 65 |
反対 | 35 | 35 | ||
合計 | 50 | 48 | 2 | 100 |
その数時間後に下院が可決した。
共和党 | 民主党 | 合計 | 欠員 | |
賛成 | 34 | 220 | 254 | |
反対 | 175 | 175 | ||
棄権 | 3 | 3 | ||
合計 |
212 | 220 | 432 | 3 |
その後、バイデン大統領が署名して成立、これにより、連邦政府機関の一部閉鎖がギリギリで回避された。
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別途、下院は9月29日遅くに債務上限適用を2022年12月まで凍結する法案を可決した。民主党の2人が反対に廻った。
共和党 | 民主党 | 合計 | 欠員 | |
賛成 | 1 | 218 | 219 | |
反対 | 210 | 2 | 212 | |
棄権 | 1 | 1 | ||
合計 |
212 | 220 | 432 | 3 |
上院民主党トップのシューマー院内総務は「早ければ来週にも」採決する可能性があるとしたが、共和党が再び阻止すると予想されている。
イエレン米財務長官は9月28日、連邦政府の資金が10月18日にも枯渇し、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがあると議会に警告した。
付記
上院は10月7日、債務上限を4,800億ドル引き上げる法案を可決、下院は10月12日に可決した。バイデン大統領は10月14日にこれに署名、成立した。
2021/10/12 米上院、債務上限の一時引き上げ可決
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なお、インフラ投資法案の下院での議決が難航している。
米上院は8月10日、インフラ包括法案を賛成69、反対30で可決した。
さらに、3兆5000億ドル規模の予算決議を50対49の賛成多数で可決した。(下院での可決後に、これに基づく具体的な予算案を通す必要がある。)
両案は下院に廻ったが、政権と民主党のペロシ下院議長は3兆5000億ドル規模の予算決議を先に通すことを決めた。
インフラ法案は反対が少ないが、3兆5000億ドルの方は民主党内にも反対があるため、まず、予算決議を通してから、インフラ法案を通すという戦術である。
しかし、民主党内で進歩派10人がインフラ包括法案を先に通すことを強く求めた。この全員が反対すると下院で法案が通らないため、ペロシ議長が、超党派のインフラ投資法案を9月27日までに採決すると約束し、ようやく8月27日に予算決議を可決した。
2021/8/26 米下院、3.5兆ドルの予算決議案を可決
ペロシ議長はその後、インフラ投資法案の採決日を9月30日に修正した。
しかし、議会民主党は9月30日、同日中をめざしていたインフラ投資法案の採決を見送った。
民主党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」(今回は予算決議は通っている。これに基づく具体的な予算案のこと)を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張し、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がつかなかった。
(ペロシ議長は、予算決議をとおすために、9月27日までにインフラ投資法案を採決すると約束しており、議長にとっては約束違反である。)
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