EU首脳、バルカン6カ国の加盟を確約 期限設定は見送り

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EU加盟27カ国は10月6日、スロベニアで開いた首脳会議で、セルビアやアルバニアなどバルカン諸国6カ国の将来的なEU加盟を確約した。

EU首脳は、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、コソボ、アルバニアの6カ国について、司法改革や経済状態を含む基準を満たせばEUに加盟できるとの見解で一致した。声明で「EUは拡大プロセスへのコミットメントを改めて確認する」とし、「西バルカン諸国の欧州的な展望に対する揺るぎない支持」を表明した。ただ、これらの国の「信頼できる改革」や「公正で厳格な条件」などを注視するとも明記した。

更に、今後7年に亘ってインフラ整備や気候変動対策にあてる約300億ユーロの支援策を明記した。

しかし、移民・難民問題への警戒から2030年の加盟を目指すとする期限は設定しなかった。 フランスやオランダは、域内の自由な移動を認めるEUにバルカン諸国が加盟すれば難民の流入増につながる恐れがあると警戒、加盟期限の設定に反対した。議長国のスロベニアは2030年までの加盟を目指すことで合意するよう呼び掛けていたが、今回の首脳会議では期限の設定は見送られた。

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西バルカン各国はこうした状況にいらだっており、セルビア、北マケドニア、アルバニアの3カ国は本年7月末、ヒトやモノ、カネの自由な移動を保障する独自の自由経済圏構想を立ち上げると表明した。

具体的には、3カ国間での労働や滞在許可証の取得手続きを簡素化する。貿易を促進するため貨物輸送の待ち時間を短縮するほか、税関などでのデータもやりとりする。順調にいけば構想は年内にも実現する見通しで、2023年からは相互の国境管理を撤廃することでも合意した。最終的にはモンテネグロなど他の周辺国も参加する可能性がある。

西バルカン諸国のEU加盟交渉がとん挫すれば、同地域と歴史的あるいは経済的に利害関係にあるロシアや中国といったライバルや敵対国が影響力を強めるとの懸念がくすぶっており、バイデン政権関係者も警戒している。

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英国が抜けて、現在のEU加盟国は27カ国。6カ国が加わると33か国となる。

バルカン半島の旧ユーゴスラビアのうち、スロベニアとクロアチアは既にEUに加盟している。

現在、残りの北マケドニア、ボスニア、セルビア、モンテネグロとコソボ、及び隣接のアルバニアがEU加盟候補となっている。

このうち、セルビアとモンテネグロが交渉が進展している。セルビアは2013年にクロアチアと同時加盟を狙ったが、セルビアから独立したコソボとの関係が正常化せず、EU側が先送りした。

北マケドニアとアルバニアは交渉開始待ちである。ブルガリアは言語をめぐる歴史認識の違いから、北マケドニアの加盟には反対している。

NATOとEUの加盟状況は下記の通り。

NATO EU
原加盟国 米国 対象外
カナダ
イタリア 1952
オランダ
フランス
ベルギー
ルクセンブルク
英国 加盟→離脱 1973
2020/1/31
デンマーク 1973
ポルトガル 1986
アイスランド

非加盟

ノルウェー
1952/2

ギリシャ

1981
トルコ 非加盟
1955/5 ドイツ(西ドイツ) 1952
1982/5 スペイン 1986
1999/3 チェコ 2004/5
ポーランド
ハンガリー
2004/3 エストニア 2004/5
ラトビア
リトアニア
スロバキア
スロベニア
ブルガリア 2007/1
ルーマニア
2009/4 アルバニア 非加盟
クロアチア 2013/7
2017/6 モンテネグロ 非加盟
2019 マケドニア
非加盟 アイルランド 1973
オーストリア 1995
フィンランド
スウエーデン
キプロス 2004/5
マルタ
非加盟 スイス 非加盟
ボスニア・ヘルツェゴビナ
セルビア
コソボ
ベラルーシ
モルドバ
ウクライナ
30か国  

28→27

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