米国Merck (米加以外ではMSD)と非営利団体のMedicines Patent Pool は10月27日、Merckの新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」(molnupiravir)を幅広い地域に提供するためのライセンス契約を締結したと発表した。
Medicines Patent Pool(MPP)は世界保健機関(WHO)が採択した「公衆衛生と技術革新、知的財産権に関するグローバル戦略」の一貫として2010年に発足した。
医薬品の特許を所有している企業や大学、研究機関などが、 第三者による製造や製品改良のため、自ら所有する特許権を提供 する仕組みで、HIVや結核、C型肝炎などの治療へのアクセスを高めてきた。特許権の保有者がMPPにその権利を提供することで、ジェネリック薬(後発医薬品)のメーカーは特許期間が満期になる以前に対象となる医薬品の開発に着手できる。
また、MPPが指定した国に対しては、開発した医薬品を輸出することもできる。
特許保有者は利用者から特許権料を受けるが、MPPの運営には特許プール管理機構があたり、提供者と利用者の間の使用交渉や特許料の支払い、受け取りの管理を行う。
今回の契約により、105か国の低・中所得諸国 (LMICs) で「モルヌピラビル」を幅広く使用することができるようになる。
Medicines Patent Poolは、Merckからのライセンスを受けて製造メーカーに非独占のサブライセンスを行い、MPPライセンスでカバーされる諸国に「モルヌピラビル」を供給するための製造ベースを広げる。
Merckと共同開発者のRidgeback Biotherapeutics 及び Emory University は、COVID-19がWHOにより「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に指定されている限り、ロイヤリティを受け取らない。
「モルヌピラビル」はEmory University により開発された。グローバルに問題となるウイルス性疾患の治療用の初期段階の医薬品の開発を進めるために大学が設立したDrug Innovation Ventures at EmoryがRidgeback Biotherapeutics にライセンスし、同社がMerckと共同で開発を行った。
Merckは10月11日、新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」について、FDAに緊急使用許可を申請したと発表した。
Merckは10月25日、European Medicines Agencyが新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」の審査を開始したと発表した。
付記
Merckは11月10日、新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」供給について日本政府と合意したと発表した。
160万回分を約120億ドル(1300億円)で供給する。(1回分 約8万円)
年内に20万回分、2022年2月、3月に各20万回分納入され、さらに100万回分を確保。
近く承認される見込み。
米国は310万回分を約22億ドルで契約した。(1回分 約710ドル)
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菅義偉前首相は10月12日、新型コロナウイルスの軽症・中等症患者向けの抗体カクテル療法「ロナプリーブ」について、中外製薬から1回31万円で50万回分調達していたことを明らかにした。
厚生労働省によると、中外製薬との契約では、購入価格や数量は明らかにしない秘密保持の条項が含まれている。
付記 米製薬大手Merckの日本法人MSDは12月3日、「ラゲブリオ」(一般名 モルヌピラビル)について、厚生労働省に製造販売承認を申請した。
付記 厚労省は12月24日、特例承認した。 日本での承認薬一覧
18歳以上で重症化リスクある人で妊婦は除く。1日2回、5日間服用、入院&死亡リスクが30%ダウン、 オミクロン株にも有効
Merckの日本法人MSDと杏林製薬は12月27日、これを共同販促すると発表した。医師向け情報提供で協力する。
厚労省、抗体カクテルロナプリーブについてオミクロン型には推奨せず
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付記 FDAは12月23日、 重症化リスクの高い大人を対象に緊急使用を承認した。
「他の承認された薬が入手できないか、臨床的に適切でない場合に限る」
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