大日本住友製薬と米国子会社 のSunovion Pharmaceuticals、及び大塚製薬は9 月30 日、大日本住友製薬とSunovion が精神神経領域で開発中の4つの新薬候補化合物について、全世界を対象とした共同開発および販売に関するライセンス契約を締結した 。
大日本住友製薬は2009年9月に米国の医薬品会社 Sepracor Inc. を買収した。同社は中枢神経領域、呼吸器領域等に特化した特徴ある事業を展開する製薬会社で、米国市場においては複数の高く認知された製品を保有し、開業医から専門医までをカバーする強固な販売網を有している。
大日本住友製薬は当時、統合失調症治療剤「ルラシドン」のグローバル展開を図っていたが、買収によりルラシドンの速やかな市場浸透、早期の売上最大化を図ることと、米国での開発パイプラインの一層の強化を狙った。
(2010年10月にFDAからルラシドン塩酸塩「Latuda」の販売許可を取得した。)2010年10月に、Sepracor Inc.と大日本住友製薬アメリカを合併し、Sunovion Pharmaceuticals Inc.とした。社名は、太陽(Sun)の力強さと革新(Innovation)を組み合わせた。
共同開発する4剤は次の通り。
予定適応症 開発段階 SEP-363856(ulotaront) 統合失調症 米 Phase Ⅲ、日本・中国 Phase Ⅱ/Ⅲ SEP-4199 双極I型障害うつ 米 Phase Ⅲ、日本 Phase Ⅲ準備中 SEP-378614 米 Phase Ⅰ SEP-380135 米 Phase Ⅰ
提携の概要:
1.開発
Sunovion は大塚製薬に4化合物の全世界での共同開発・販売権を許諾
大日本住友製薬グループ(日、米、中国、シンガポール)は大塚製薬と共同で開発する。
2. 販売
米国、カナダ、日本、アジア(中国、台湾、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア) では大日本住友製薬グループが売上計上
国・地域ごとに大日本住友製薬グループと大塚製薬が原則共同プロモーションを行う 。
欧州を含む 41 の国・地域では大塚製薬が売上計上
(その他の地域については今後検討)。
3. すべての臨床試験、各国・地域における承認申請や販売に関する費用および利益は、Sunovion と大塚製薬で折半
4. 対価
大塚製薬はSunovionに対し 、
契約一時金として 270 百万米ドル、
4 化合物の開発マイルストンとして 620 百万米ドル(追加適応症の数によっては上回る可能性あり)および
販売マイルストンを支払う可能性
大日本住友製薬は2022年3月期に300億円を利益計上
大日本住友製薬は非定型抗精神病薬「Latuda」の米国での独占販売期間終了や将来の環境変化を見据えた取り組みとして、グローバル規模でのパートナリングによる持続的な成長を目指しており、今回の提携はその大きな一歩 としている。
大日本住友製薬が米国で年約1800億円を販売する主力薬「Latuda」の物質特許は2019年1月2日に失効した。しかし、用途特許や製剤特許はなお有効であり、2018年12月に後発薬各社との間で和解が成立し、後発薬の登場を2023年2月以降に4年遅らせることに成功した。
2019/1/25 大日本住友製薬、主力薬「ラツーダ」の特許で 後発薬各社と和解
大塚製薬は、2002年の米国での抗精神病薬の発売からはじまり、現在に至るまで長期にわたり、自社の強みとパートナーシップの機会を活かしながら精神神経領域で新しい治療を提供してきた。現在はアルツハイマー型認知症による行動障害の治療薬の開発や世界初のデジタルメディスンの展開など新たな分野での取り組みも進めてい る。
本契約により、長年にわたり培ってきた経験やネットワークを活かし、両者で患者にとってのさらなる価値を届けることができることと期待してい るとしている。
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大塚製薬は、中枢神経領域では、世界中で販売する抗精神病薬「ABILIFY」に続き、新たな治療の選択肢として、持続性注射剤(月1回製剤)「ABILIFY Maintena」を2013年に米国で発売、現在では50カ国以上で販売している。
新規抗精神病薬「REXULTI」は、統合失調症と大うつ病補助療法の適応症での承認を米国FDAより同時に取得し、2015年に米国で発売した。日本と欧州でも統合失調症の適応で2018年に承認を取得し、展開国を拡大している。
2015年に米国Avanir Pharmaceuticals を買収、同社は情動調節障害の治療薬「NUEDEXTA」を米国で販売するとともに、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病に伴う症状の治療薬などを開発している。
その他、がん領域では、造血幹細胞移植前治療薬「Busulfex」を自社およびパートナー会社を通じて世界50カ国以上で販売しており、全身放射線照射に取って代わる骨髄移植前の処置薬として標準薬剤治療法を確立している。
また、米国ARIAD Pharmaceuticals(2017年に武田薬品が買収)との間で難治性の慢性骨髄性白血病の治療薬の日本を含むアジア10カ国・地域の共同開発・商業化の契約を締結し、2016年から日本で販売を開始した。
循環器・腎領域では、バソプレシンV2-受容体拮抗剤「Samsca」は、経口水利尿薬としての新しい価値や使用方法が医療現場で浸透、また、腎臓の難病である常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の世界で初めての治療薬として2014年に日本で承認を取得し、世界約30カ国・地域で「JINARC / JYNARQUE」の製品名で販売している。
眼科領域では、ドライアイ治療剤「ムコスタ点眼液」、緑内障治療剤「ミケランLA点眼液」「ミケルナ配合点眼液」を販売している。
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