BHP、豪州の石炭プロジェクトの一つを売却

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BHPは化石燃料事業からの撤退の一環として、三井物産との原料炭JVのBMC(BHP Billiton Mitsui Coal)の権益80%を 豪Stanmore Resourcesに12億ドル (今後の石炭価格動向により最大1.5億ドルの追加の可能性)で売却することで合意した。
豪州の外国投資審査委員会からの承認が必要で、2022年半ばごろに売却が完了する見込み。

三井物産はBMCの20%の権益を維持する。

BMCはクイーンズランド州に操業中の2鉱山(Poitrel and South Walker Creek)を所有し、年間約1000万トンの石炭を生産している。主力炭鉱の1つであるPoitrel 炭鉱では、石炭処理・鉄道施設に関して豪の石炭生産企業 Peabody Pacificと提携している。

BMCのPoitrel 炭鉱はPeabody PacificのMillennium炭鉱と隣接している。Peabody Pacificは鉱山から採掘される石炭の処理施設や鉄道などの設備を所有しているが、BMCは2018年2月にこの権益の50%を購入、50/50JVのRed Mountain Joint Ventureとした。

BMCの権益を買収するStanmore ResourcesはシンガポールのGolden Energy and Resources が過半数権益を保有する。

Golden Energy and Resources は鉱山会社で、主にオーストラリアで原料炭・金、インドネシアでエネルギー石炭の探鉱、採鉱、販売に従事する。アジアで再生可能エネルギープロジェクトを対象にさまざまな投資も手掛ける。

Stanmore Resourcesはクイーンズランド州でIsaac Plains石炭コンプレックスを運営している。

Isaac Plains炭鉱は住友商事とVale のJVであったが、石炭価格の下落で大幅な損失を計上、2015年1月末をもって操業停止し、休山することを決定した。
両社は2015年7月、Isaac Plains炭鉱をStanmore Coal に 1 豪ドルで売却した

2014/10/1 住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上

BHPは発表資料で、「今回の取引は当社の戦略に沿うものだ。世界が脱炭素化を進める中、BHPは効率性の向上と排出量の削減に向け世界の鉄鋼メーカーが求める高品質の原料炭の生産に一段と注力していく」と説明した。


BHPは三菱商事との50/50JVのBMA(
BHP Billiton Mitsubishi Alliance) を持つが、世界の鉄鋼メーカーが求め高品位炭のため今後も保有する。

2001年に三菱商事がBHP Billitonから権益を取得することによりBMAが発足した。

BMAはイーンズランド州東部に位置するオーストラリア最大の石炭埋蔵地域であるBowen Basinに7つの炭鉱(Goonyella Riverside、Broadmeadow、Daunia、Peak Downs、Saraji、Blackwater、Caval Ridge)を持つ。また、石炭を出荷するための港湾施設Hay Point の操業も行っている。

当初、9つの探鉱を運営していたが、Norwich Park炭鉱は石炭価格下落、洪水による生産減、高コストを理由に2012年5月に休止、Gregory Crinumも2012年10月に休止した。

このうち、Gregory Crinumについては、2018年5月に双日が約82億円で買収した。

2018/6/13 双日、三菱商事 / BHPBillitonから豪州の休止中の炭鉱を買収

BHPは他に、発電用石炭のMount Arthur complex についても売却方針を示し、多くの企業が関心を示している。米国のPeabody Energyが有力と見られている。


BHPグループは8月17日、石油・ガス事業を豪 Woodside Petroleumに売却すると発表した。

世界的な「脱炭素化」の流れをにらみ、本業である鉱業に経営資源を集中させる。 化石燃料から脱却し、「未来に目を向けた」商品へのシフトを目指す。

石油・ガス事業から撤退する一方、ニッケル事業を強化している。


2021/8/19 BHPが石油・ガス事業から脱却




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