三菱マテリアル、アルミ事業を売却

| コメント(0)
三菱マテリアルは11月25日、ユニバーサル製缶(三菱マテリアル80%、ホッカンホールディングス20%)と100%子会社の三菱アルミニウムを米国 の投資会社Apollo Global Managementのファンドが所有する昭和アルミニウム缶に売却すると発表した。 これに伴い、ホッカンホールディングスもユニバーサル製缶の同社持分を売却する。


三菱マテリアルは1962年にアルミ圧延品事業、72年にはアルミ缶事業に進出し、半世紀にわたってアルミ事業を展開してきた。三菱アルミニウム (圧延)とユニバーサル製缶(アルミ缶)の一貫生産体制で、アルミ缶リサイクルの分野で存在感を示している。 

三菱マテリアルでは、同社の他の事業とのシナジーが見出しにくいアルミ事業について、収益構造改善を実施しつつ、事業再編の機会を模索してきた。

その状況下、アルミを含む素材業界に関するグローバルな知見及び経営資源を持つ Apolloの下で事業の競争力強化を追求していくことが三菱マテリアルにとってもアルミ事業2社にとっても最良の選択であるとの結論に至ったもの。

今後、銅加工品などに経営資源を集中する。 「EVなどで底堅い需要が見込まれる銅加工品や航空機需要回復が期待される超硬工具、金属リサイクルに配分する」としている。 

売却額は公表していないが、負債を含めて約600億円との報道がある。三菱マテリアルでは事業再編損失して 290億円の特別損失を計上する。

なお、本件に関する三菱マテリアルの説明は下記のとおりで、非常に分かりにくい。

・・・昭和アルミニウム缶に対し、当社が保有するユニ缶社の全ての株式を譲渡すること及び吸収分割により三菱アルミ社のアルミ圧延・押出事業を承継させたうえで新会社に分離再編すること等に関する契約を締結することを決議いたしました。

同社に問い合わせたところ、「三菱アルミの営む全事業(箔も含む)を昭和アルミニウム缶に譲渡」とのこと。

昭和アルミニウム缶は元は昭和電工の事業。

昭和電工は本年6月と8月に、会社分割によりアルミ缶事業を昭和アルミニウム缶㈱に、アルミ圧延事業を昭和電工堺アルミ㈱に承継、いずれもApollo Global Managementのファンドに引き継がれた。

Apollo Global Managementグループでは、昭和アルミニウム缶とユニバーサル製缶が統合することで、東洋製罐 グループホールディングス、大和製罐と並び大手3社の一つとなる。

たアルミ板・押出製品を手掛ける三菱アルミニウムを傘下に収めることで 、アルミ圧延・加工業界では、UACJ、日本軽金属に次ぐ第3位となり、神戸製鋼所 を抜く。(現在は神戸製鋼が3位、三菱マテリアルが4位、昭和電工が5位である。)

UACJは2013年10月に古河スカイと住友軽金属工業が経営統合し、発足した。

社名のUACJは、世界市場を目指すとして「United Aluminium Company of Japan」の頭文字から採った。

Apollo Global Managementグループは昭和電工からの買収で圧延とアルミ缶を分離したが、今後、アルミ圧延事業の昭和電工堺アルミも一体化するのではないかと思われる。


ーーー

なお、三菱マテリアルは11月12日、孫会社(100%子会社の三菱電線工業の100%子会社)の菱星システム㈱を、通信事業者向けの電気・通信基盤構築を手がけているエクシオグループ㈱に譲渡すると発表している。

菱星システムは下記の事業を行っている。
① 電力送電線および配電線の建設を担う電設事業
② 有線、無線の通信工事でシステム建設を担うシステム事業
③ ロードヒーティング、電気床暖房の環境システムを建設する冷熱事業

三菱マテリアルは事業ポートフォリオの最適化を掲げ、取り組みを進めているが、エクシオグループに譲渡し、同社の下で事業を運営することが菱星社の将来的な成長に資すると判断した。



コメントする

月別 アーカイブ