SoftBank Vision Fund、日本企業に初投資

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神経・精神疾患領域における革新的な新薬の開発と商業化を推進する新しいバイオベンチャー企業であるアキュリスファーマ(Aculys Pharma)は10月28日、SoftBank Vision Fund 2をリード投資家とするグループから総額68億円の資金調達を実施したと発表した。

その他の投資家:Catalys Pacific、HBM Healthcare Investments、Global Founders Capital、三井住友トラスト・インベストメント、ANRI 

Catalys Pacificは2019年に日本における最大規模のライフサイエンス分野への投資に特化した独立系ファンドとして誕生した。
中外製薬、エーザイ、ソフトバンクグループ、武田薬品工業、セルジーンをストラテジック・パートナーとして、日本発のアセットへの投資および開発促進に貢献する。

アキュリスファーマはまた、フランスのBioprojet Pharmaとの間で、睡眠障害分野において米国・欧州で各当局の承認を受け、既に臨床現場で使用されているヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬 pitolisantに関する日本での独占的開発・商業化に関するライセンス契約を締結したと発表した。

今回調達した資金はpitolisantの臨床開発や上市に向けた諸活動に充てられる。

ソフトバンクグループは、「Vision Fund 2として初の日本での投資先となるアキュリスファーマが、睡眠障害に対して革新的な医薬品と、AI・デジタル技術を駆使したbeyond-the-pill solutions(薬を超える解決策)を届けられると確信している」としている。


SoftBank Vision Fund 1 は2017年5月にサウジアラビアなどと共同で10兆円規模でスタートした。

2017/5/25 ソフトバンクの「10兆円ファンド」発足

SoftBank Vision Fund 2 は2019年7月に設立が発表された。今回はサウジは入っていない。
しかし、資金が集まらず、暫く凍結された。現在、全ての資金をソフトバンクが出している。

2019/7/29 「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」設立 

SoftBank Vision Fund 2は現在、欧州や中東、アジア(中国以外)への投資を急速に増やしており、日本での次の投資も検討しているとされる。

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アキュリスファーマは、Catalys Pacificの全面的な支援を受け、神経・精神疾患領域の医療に変革をもたらすとして、2021年1月に設立された日本発のバイオベンチャー企業で、国際色豊かな取締役会メンバーの下に、大手製薬企業で長年、医薬品の開発や疾患啓発等に携わってきた経験豊かなメンバーが結集した。

共同創業者、代表取締役社長兼CEOの綱場一成氏は、2020年10月末までノバルティス ファーマの代表取締役社長 であった。

神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供することを狙う。

同社は睡眠障害において新しい治療選択肢をもたらすべく新薬の臨床開発を進めている。また、神経・精神疾患領域の他の疾患についても、アンメットニーズを満たす薬剤を日々探索している。

今回、フランスのBioprojet PharmaからヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬 pitolisantを導入した。


Bioprojet Pharmaは、pitolisant(Wakix®)等のアンメットメディカルニーズに応える革新的な医薬品の研究・開発を行なっている。自社で欧州7か国での業務展開を行うとともに、その他の地域は現地パートナーとの協業を通じて開発・販売活動を展開している。

Pitolisantは、人間の睡眠・覚醒リズムの制御において重要な役割を担っているヒスタミン含有ニューロンのシナプス前部に分布する自己受容体、ヒスタミンH3受容体へ選択的に結合する拮抗薬/逆作動薬で、欧州では2016年に欧州医薬品庁(EMA)に承認された。
また、2021年には「閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における覚醒状態の改善及び日中の過度の眠気の減少」を追加の効能・効果として承認取得した。

米国では2019年に「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」を効能・効果として米国食品医薬品局(FDA)に承認された。

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