塩野義製薬、COVID-19ワクチンのグローバル第3相臨床試験開始

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塩野義製薬は12月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチン(開発番号:S-268019)について、グローバル第3相臨床試験をベトナムで開始した と発表した。

今回のベトナムでのグローバル第3相臨床試験では、成人を対象に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確定したCOVID-19の発症率を主要評価項目として、S-268019 の2回接種後におけるCOVID-19の発症予防効果および安全性について、偽薬投与群との比較で評価 する。

現在も、ワクチンの供給が十分ではない国・地域が多く存在する中で、同社では今後のグローバルヘルスへの貢献を見据えて本臨床試験を実施 するもので、本主旨ならびにアジアにおける大規模臨床試験基盤構築に賛同するベトナム政府支援の下、臨床試験の開始に至った。


同社が2020年
4 月より開発に取り組んでいるワクチン(開発番号:S-268019)は、グループ会社 UMN ファーマが有する BEVS を活用した遺伝子組換えタンパクワクチン。

UMNファーマは2004年設立で、2006年に米のベンチャーProtein Sciences Corporationから、SF+細胞により製造する遺伝子組換えインフルエンザワクチンの日本における独占的事業化権を取得した。

その後、各社と提携して各種ワクチンの開発を続けてきたが、2017年に塩野義と提携、2019年に塩野義がTOBを行ない、2020年に100%子会社とした。

BEVS: Baculovirus Expression Vector Systemは昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術で、UMNファーマが有する技術ではバキュロウイルスや昆虫細胞由来の成分・病原ウイルスの混入なしに抗原タンパクの精製が可能 である

遺伝子組換えタンパクワクチンは、ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現 、精製後に投与に供され る。

遺伝子情報そのものを投与し、
体内にて抗原タンパクを合成させる
mRNA クチン等の新規技術と比べて、抗原発現や精製に一定の開発期間を要する一方で、インフルエンザ予防ワクチンをはじめ、複数の製品がその効果と安全性を基に承認・実用化されている確立された技術で ある。

これまでに、選択した抗原タンパクおよびアジュバント (免疫を活性化させ、ワクチンの効果を補強する物質 を用いた非臨床試験において、安全性と有効性を示唆する結果が得られており、冷蔵条件下での製剤中の安定性が一定期間確認されてい る。

同社はこれまで、安全性の観点から2種類のヘルパーT細胞のバランスを重視して選択したアジュバント を用いて、2020年12月より第1/2相臨床試験を実施してきた。

その後の種々の検討結果や集積された知見を踏まえ、2021年7月末より、2種類のヘルパーT細胞のバランスを維持しつつもより高い中和抗体価の誘導が必要と判断し、アジュバントを変更した新製剤を用いて国内における第1/2相臨床試験を新たに開始した。

日本人成人60例を対象に、忍容性、安全性および免疫原性の評価が行われており、これまでに本ワクチンの忍容性を確認するとともに、安全性についても大きな問題は見られていない。さらに、良好な中和抗体価の上昇を確認した。

これを受け、国内第2/3相臨床試験 を10月20日に開始した。

12月3日には国内において、追加接種による臨床試験を開始した。

ワクチン接種後、時間の経過に伴い徐々に効果が低下していくことが示唆されており、感染拡大防止および重症化予防を目的に、初回免疫を完了した接種者に対して追加の接種を行う。

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同社は、追加免疫試験とともに、S-268019の初回免疫(1回目・2回目)時の安全性および有効性の検証を目的に、海外でのプラセボ投与群を対照とした発症予防試験および国内外での既承認ワクチンを対照とした中和抗体価比較試験の開始準備を進めて いる。

同社は11月25日、ベトナム保健省及びハノイのAdvanced International Joint Stock Companyとの間にCOVID-19を含む感染症対策に関する基本合意書を締結した 。

塩野義製薬が開発中のCOVID-19ワクチン(S-268019)および経口治療薬(S-217622)のベトナムでの臨床試験促進ならびに塩野義製薬によるベトナムへのS-268019の製造技術移管への協力などについて、3者による具体的な協議に移行する。

塩野義製薬は7月26日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬(開発番号:S-217622)について、経口投与の抗ウイルス薬として国内で第1相臨床試験を開始し、7月22日に初回投与を行ったと発表した。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しているが、本治療薬は、塩野義が創製した3CLプロテアーゼ阻害薬で、SARS-CoV-2の3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制する。

2021/7/28 塩野義製薬、COVID-19治療薬の臨床試験開始

同社では、第3相臨床試験として、COVID-19ワクチンの新たな評価方法である既承認ワクチンを対照とした中和抗体価比較試験の準備も進め ており、2022年1月の開始を予定している。

プラセボ試験はワクチン投与群と偽薬投与群との比較である。しかし偽薬投与群は病気にかかる恐れがあり、倫理的問題を抱える。(今回のベトナムでのプラセボ試験は、ワクチン2回接種後の試験で、倫理的問題は少ない。)

中和抗体比較試験は、当該ワクチンによる中和抗体と、既存の承認済みワクチンによる中和抗体の比較で有効性を判断するもの。

国内の承認申請に向けては、現在実施中の国内第2/3相臨床試験および追加免疫臨床試験の結果も含めて、厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)等と協議を行って いくとしている。

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