ドイツで「信号連立」が成立

| コメント(0)

9月のドイツ総選挙で第1党になった中道左派の社会民主党(SPD:党のカラーは)と、第3党のの党、第4党の自由民主党(FDP:党のカラーは)の3党は11月24日、連立政権樹立について合意に達したと発表した。「信号連立 :Traffic light coalition」 (各党のシンボルカラーから)が成立する。

3党による党内手続きを経たうえで、12月8日に開く連邦議会で社民党のOlaf Scholz 副首相兼財務相(63)が、4期16年務めたメルケル氏に代わり 新首相に選出される。

それに先立ち、メルケル首相(67)の最後の公式行事となる退任式が12月2日夜、ベルリンの国防省で開かれた。

首相以外の閣僚ポストは、社民党に内務、国防、労働・社会など6つ、緑の党に外務、新設する経済・気候など5つ、自民党に財務など4つが配分された。
外相には緑の党の
Annalena Baerbock共同党首、財務相に自民党のChristian Lindner党首が就任する可能性が高い。

3党による連立合意には下記が含まれている。

・再生可能エネルギーの比率は2030年に80%に高める。(これまでは65%が目標)

・石炭火力の廃止時期も、現在の2038年から「理想的には」2030年に前倒しすることを目指す。

・2030年までに鉄道での貨物輸送量を25%増やすとともに、国内で少なくとも1,500万台の電気自動車(EV)の投入を目指す。

・欧州域内の航空便には追加サーチャージを要求する。(ドイツは実施済み)

・移民は5年経てば市民権を申請できる。二重国籍を認める。ドイツに何十年も住んでも外人である数千人のトルコ系にとって大きなことである。

・最低賃金の12ユーロ(約1500円)への引上げ(Scholz候補が選挙戦で約束)

・大麻の合法化

・住宅不足危機対応で年に40万戸のアパート建設

・選挙権を16歳に引き下げ

・資格労働者呼び寄せのため、移民受け入れの点数制度採用

・3月にオーストリアで開かれる核兵器禁止条約の初めての締約国会議にオブザーバーとして参加、メルケル政権の姿勢を転換

NATO加盟国で、オブザーバーとして参加の意向を示したのはノルウェーに続いてドイツが2か国目で、G7では初めてとなる。他に、NATO非加盟国のスイス、スウェーデン、フィンランドが参加する。

ドイツはNATOに加盟し、国内の基地には米国の戦術核兵器が配備されているだけに、影響は大きく、他の加盟国が追随する可能性がある。NATO側の反発が予想される。

連立は問題も抱えている。

10月のG20首脳会議の合間に、メルケル首相は次期首相に就任する方向のショルツ財務相に対し、新型コロナウイルス対策の厳格化が必要になるかもしれないと注意を促した。 感染が拡大しつつあった新型コロナへの対応として、国内16州の首相を招集する会合の開催を提案した。

しかし、ショルツ氏は不要だとして取り合わなかった。社会民主党と緑 の党、自由民主党はともに、メルケル政権が導入したパンデミック対策の緊急措置の解除を目指して動いた。

ドイツではその後、猛烈な勢いで感染が拡大し、政権発足する前から立場を弱めることになった。

ーーー

ドイツ連邦下院議会選挙(総選挙)は9月26日に投開票された。

社会民主党がメルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)を抑えてトップとなり、環境政党の「緑の党」が第3党に躍進した。

両党が他の1党と組んでも多数決に達しないため、どちらかが主導の3党連合となる可能性が高い とみられた。

社会民主党(赤)、緑の党(緑)、自由民主党(黄)は交通信号機の色から「信号連立」、CDU/CSU(黒)、緑の党(緑)、自由民主党(黄)はジャマイカの国旗の色から「ジャマイカ連立」と呼ばれる。

第一次
2005/11
第二次
2009/10
第三次
2013/12

第四次

今回

2017/9

2018/3 2021/9 首相候補
キリスト教民主同盟 キリスト教
民主・社会同盟
(CDU/CSU)
連立 連立 連立 245 連立協議 連立 196 Armin Laschet 党首
キリスト教社会同盟
ドイツ社会民主党(SPD) 連立   連立 152 離脱

連立 206 Olaf Scholz 副首相
兼財務相
緑の党       67 協議 118 Annalena Baerbock
共同党首(女性)
自由民主党(FDP)   連立 80 協議 離脱 92
ドイツのための選択肢(AfD)     87   83 (極右政党)
左派党       69   39 (旧東独共産党系)
無所属       9   1
合計      

709 (過半数は355) 

 735(過半数 368 )


2021/9/28 ドイツ総選挙、勝者なく、連立交渉難航の可能性

キリスト教民主・社会同盟も連立を目指し動き出したが、メルケル首相が、第一党の社会民主党がまず交渉するのが筋だとし、止めた。

その結果、今回の「信号連立」の誕生となった。

コメントする

月別 アーカイブ