米国の債務上限問題がようやく解決した。
議会は米政府の債務上限を2兆5千億ドル引き上げ、31.4 兆ドルにする法案を可決した。来年の中間選挙の先まで、恐らく2023年までは債務不履行にはならないと見られる。
まず上院が12月14日午後、この法案を可決し、下院に送った。
下記の手続きにより、今回限り過半数での可決となったが、共和党議員1名が棄権したため、50対49での可決となった。
(50対50の場合は、上院議長である副大統領が投票するため、いずれにしても可決となる。)
共和党 | 民主党 | 民主系 無所属 |
合計 | |
賛成 | 48 | 2 | 50 | |
反対 | 49 | 49 | ||
棄権 | 1 | 1 | ||
合計 | 50 | 48 | 2 | 100 |
下院は同日の夜9時に本件を優先議題にすることを決め、議論に入り、15日0時23分に可決した。
共和党 | 民主党 | 合計 | |
賛成 | 1 | 220 | 221 |
反対 | 209 | 209 | |
棄権 | 3 | 1 | 4 |
合計 | 213 | 221 | 434 |
共和党は、実際にはこれを否決してデフォルトが起こることは避けたいが、民主党単独で決めたとの実績をつくるべく、例外的に上院での多数決での議決を認める法案を通してまで、引き上げに反対の姿勢を続けた。
共和党のLindsey Graham 上院議員は、「民主党は債務上限を2兆5千億ドル引き上げた。政府を膨張させ続けようとする民主党の望みは社会主義アメリカへの道だ」と述べた。
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米上下両院は12月2日、翌日で期限切れとなるつなぎ予算を来年2月18日まで延長する法案を賛成多数で可決した。バイデン大統領は12月3日、これに署名、同予算が成立した
2021/12/4 米議会、つなぎ予算案を可決
しかし、債務上限については未解決で、イエレン財務長官は、12月15日までの財政資金を確保しているが、その先は資金繰りが行き詰まる恐れがあると警告している。
債務残高に上限を定める法律の適用停止措置が7月31日に期限を迎えた。 28兆4010億ドルが上限となった。
2021/7/26 米国、債務上限復活
そのため、議会は当面、債務上限を4,800億ドル引き上げる法案 を通し、大統領は10月14日に署名、成立した。
2021/10/12 米上院、債務上限の一時引き上げ可決
しかし、これでは上限が28兆8800億ドルになるだけで、間もなく資金繰りに行き詰まる。
実際には共和党も民主党も、政府の資金繰りが行き詰まってデフォルトに陥ることは望んでいない。
しかし共和党は、債務が増えるのはバイデン大統領の1.75兆ドルの税制・支出法案などのためであるとし、共和党としては債務引き上げ法案に賛成しないとする。他方民主党は、これまでの共和党政権の支出増も債務増の原因であり、共同で債務引き上げを行なうべきだと主張し、単独での引き上げには反対してきた。
時間稼ぎのため、とりあえず4800億ドル引き上げて時間稼ぎをしたが、それも期限がきた。
このため、民主党単独で引き上げることとしたが、上院では議決に60票が必要であり、民主党単独では可決できない。
このため、両党の協議で、本件に限り上院で過半数で議決することが出来る法案を通すというやり方を考案した。共和党幹部はこれまで、バイデン政権が掲げる大型歳出法案への反発から協力を拒んできたが、民主党単独での上限引き上げ法案可決は容認した。
共和党の思惑通り、共和党が反対したのに民主党が債務を増やしたという実績が残ることとなる。全くの茶番である。
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米下院は12月7日夜、連邦政府債務の法定上限引き上げ案の単純過半数票での上院通過を可能にする迅速承認(fast-track)プロセスを設ける法案を賛成222、反対212の賛成多数で可決した。
共和党 民主党 合計 賛成 1 221 222 反対 212 212 合計 213 221 434
上院は12月8日、この法案を通した。手続き上、この法案を票決するかどうかを60票以上の賛成で通し、そのうえで多数決で通した。
民主党のSchumer上院院内総務と共和党のMcConnell上院院内総務は債務上限引き上げを後押しする打開策で合意したとしている。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 14 48 2 64≧60 反対 36 36 合計 50 48 2 100
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 10 48 1 59>50 反対 35 35 棄権 5 1 6 合計 50 48 2 100
法案には共和党から10名が賛成した。上院共和党トップのMcConnell 院内総務も賛成した。
バイデン大統領が署名し、上院民主党会派は単純過半数で債務上限を引き上げる1回限りの権限を得た。
連邦政府の借入限度額である現在の28兆9000億ドルを実際に引き上げるための別の法案が間もなく可決される見通しとなった。
引き上げ幅はまだ決まっていないが、2022年末までの支払いをカバーできる額(2~3兆ドル程度とされる)になる公算が大きい。
ペロシ下院議長は迅速承認プロセス法案が成立した後に上院が債務上限引き上げ案を通過させれば、下院はこれを採決のため審議すると述べた。
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