韓国反発で佐渡金山の世界遺産推薦見送り、一転 推薦へ 

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政府は1月19日、文化庁の文化審議会が世界文化遺産の国内推薦候補に選んだ「佐渡島の金山」について、ユネスコへの推薦を見送る方向で調整に入った。 韓国の反発などで、2023年のユネスコ世界遺産委員会で登録される見通しが立たないと判断した。韓国政府が、戦時中に佐渡の鉱山で朝鮮半島出身者が働いており、「強制労働被害の現場だ」などと主張し、登録に向けた動きに反発している。

佐渡の金山は「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成される。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇り、金の採取から精錬までを手作業で行っていた時代の遺跡が残っているのは世界的に例がないとされる。

(強制労働云々に全く関係のない)「江戸時代」の遺構の価値を強調し、世界文化遺産登録を強く求めるもの。

ユネスコは2015年10月10日、中国が登録を申請した旧日本軍による南京大虐殺に関する資料を世界記憶遺産に登録したと発表した。これに対し、日本が猛反発し、ユネスコに支払う分担金の支払いを留保した。そして、日本政府が中心になり、加盟国に審査制度の変更を働きかけた。

この結果、 ユネスコの執行委員会は2021年4月15日、「世界の記憶」(世界記憶遺産)の申請登録に際し、当事国による異議申立制度を設ける改革案を全会一致で承認した。異議が出た場合、関係当事国が対話を行い、合意が得られるまで遺産登録されない。

外務省内では、「今回は日本が逆の立場になり、韓国の反発がある中で推薦すれば国際社会の信用を失いかねない」との判断も働いた。

しかし、政府の推薦見送り方針に対し、自民党の安倍晋三元首相ら保守系議員は「弱腰外交だ」などと批判を展開した。

政府は再検討を迫られ、1月28日に一転、ユネスコへ推薦する方向で最終調整に入った。2月1日に閣議了解する見通し。

2023年の登録審査を受けるには、2月1日までに推薦書を出す必要がある。ユネスコは、専門家らで作る諮問機関「イコモス」が現地調査し、登録にふさわしいかを勧告し、21カ国で構成する世界遺産委員会が、登録するかを判断する。ただ、韓国の反発は必至で順調に進むかどうか見通せない。

韓国は「強制労働問題」で、日本の端島(軍艦島)など近代産業施設の世界文化遺産登録取り消しを検討してほしいという書簡を発送したことがある。 日本に対する不信感を持つ。

世界遺産委員会は2015年7月5日、長崎県の端島(軍艦島)など全国23施設の「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録を全会一致で決めたが、当初、韓国政府は、「明治日本の産業革命遺産」の23施設のうち7施設について、「戦時中に強制徴用された労働者がいた」と主張し、登録に反対した。

その後、韓国側は6月の日韓外相会談で、徴用工を含む「歴史の全容」を施設の説明を加えれば反対しない姿勢を示し、事態は決着したかにみえた。

しかし、新宿区にある総務省 第2庁舎別館内の産業遺産情報センターが一般公開されたが、韓国側は、センターが強制徴用を否定する証言と資料を展示しており、約束した措置を履行していないとして強く抗議した。

2020/6/27 韓国、ユネスコに「軍艦島の世界遺産登録取り消し検討依頼」書簡発送 

ユネスコなどが派遣した専門家が視察し、旧朝鮮半島出身労働者らについての説明が「不十分だ」とする報告書を公表、世界遺産委員会は2021年7月、旧朝鮮半島出身労働者らについてさらなる説明などを求める決議を採択している。

(過去の経緯)

ユネスコは2015年10月10日、中国が登録を申請した旧日本軍による南京大虐殺に関する資料を世界記憶遺産に登録したと発表した。中国は従軍慰安婦問題の資料も登録申請していたが、見送られた。

中国は「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」と位置付ける2015年の登録を目指し、2014年に申請した。日本政府は「ユネスコの場を政治的に利用している」と批判し、中国に抗議。申請の取り下げを求めたが、中国は拒否していた。

これを受け、菅義偉官房長官が、審査過程で日本の考え方が反映されていないとして不快感を表明し、「文書について本物なのか、専門家の検証を受けていない」とし、「ユネスコへの分担金や拠出金の支払い停止を含めて検討していく」と、見直す方針を示した。

外務省は2016年10月13日、日本がユネスコに支払う分担金について、2016年の分担金など約44億円の支払いを留保していると明らかにした。

支払いを留保しているのは分担金(約38億5000万円)のほか、カンボジアの世界遺産「アンコールワット」の修復費など任意拠出を約束している約5億5000万円の合わせて約44億円。

支払い留保の理由について、岸田文雄外相は記者会見で「総合的判断で、現時点で支払っていない」と述べるにとどめた。


これを教訓に、外務省を中心に「ユネスコが政治的対立をあおる場になってはならない」と加盟国に審査制度の変更を働きかけた。

ユネスコ「世界の記憶」(旧・記憶遺産)を審査する国際諮問委員会が2017年10月、日中韓など8カ国の市民団体などが申請した「旧日本軍の慰安婦に関する資料」登録の判断を見送る方向となった。

日本政府は2017年11月、「世界の記憶」の扱いをめぐって支払いを留保していたユネスコの分担金を支払う手続きに入った。中国や韓国が後押ししていた旧日本軍の従軍慰安婦関連資料の登録が見送られ、登録制度の変更も決まったため。 

米国がユネスコ脱退を決めるなか、日本は制度改革を主導した。

米国とイスラエルは2017年10月12日、ユネスコを脱退すると発表した。米政府は、ユネスコが「反イスラエル」で偏向していると批判した。

ユネスコの執行委員会は2021年4月15日、日本の働きかけを受け、「世界の記憶」(世界記憶遺産)の申請登録に際し、当事国による異議申立制度を設ける改革案を全会一致で承認した。異議が出た場合、関係当事国が対話を行い、合意が得られるまで遺産登録されない。

それまでの制度では民間団体や地方自治体も登録を申請できるが、新制度では加盟国の政府を通じて行うことになる。
また、最終的な登録決定の権限がユネスコ事務局長から執行委に移行する。

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