サウジアラビアを訪問中の文在寅韓国大統領は1月18日、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と公式会談を行ない、サウジアラビアの現地原発市場進出および兵器輸出に関する対話を交わした。文大統領は韓国が実施したアラブ首長国連邦のBarakah原発を挙げ、「韓国の原発技術は、世界最高レベルの経済性と安全性を備えている」と語った 。
ムハンマド皇太子は「防衛産業と国防分野において、技術共有をはじめとした協力が重要だ。サウジアラビアは2030年までに、防衛産業技術の自国化を目標にしている」とし「韓国は兵器国産化の経験があることから、よきパートナーだ」と語った。
文大統領は直前のUAE訪問中、「韓国型パトリオット」と呼ばれる弾道ミサイル迎撃システム「天弓2」の輸出を確定させた。契約規模は35億ドル相当で、国産の単独兵器の契約としては過去最大規模となる。
文大統領は「両国が水素エネルギー分野における強みとノウハウを共有し、サウジアラビアの 「ネットゼロ」(炭素中立)の目標達成に貢献することを希望する」と語った。
ビン・サルマン皇太子は「サウジは2060年の炭素中立を目標にしていて、韓国が関連分野でさまざまな先進技術とノウハウを共有することを希望する」とし、再生可能エネルギーに関連する韓国企業の積極的な参加を要請した。
韓国とサウジアラビアは首都リヤドで18日に開かれた「スマート革新成長フォーラム」で製造、エネルギー、水素など新産業の協力多角化に関する了解覚書(MOU)14件を締結した。フォーラムには文大統領、サウジアラビアの投資相らが出席し、MOU締結式を行った。
文大統領はフォーラムで、両国の共同成長に向けた3つの協力分野として、水素協力、皇太子が主導するスマートシティ建設プロジェクト「NEOMシティ」の建設のような巨大プロジェクトへの韓国の先端技術の導入、保健医療・デジタル協力を通じた新型コロナウイルスへの共同対応と新成長エンジン確保を示した。
文大統領は、韓国企業が参加している、首都リヤドの都心に全長168キロに及ぶ6つの地下鉄路線を建設するサウジアラビア初の広域公共交通事業「リヤド・メトロプロジェクト」の建設現場を訪れたあと、今回の中東歴訪最後の訪問国であるエジプトに向けて出発した。
今回締結されたMOUは、製造・インフラ・デジタル・保健医療が5件、水素・エネルギーが9件となっている。水素・エネルギー分野のMOUでは韓国電力の重油火力事業の主な燃料である重油をガスに転換する燃料転換事業に関する協力などが含まれた。
主なMOU:
サウジ側当事者 | 韓国側 | 案件 |
ROSHN(不動産開発) | Samsung C&T | 住宅開発、プレキャストコンクリートブロックでの共同事業の非独占基本契約 |
Public Investment Fund (PIF) | POSCO / Samsung C&T | 輸出用のグリーン水素生産計画の研究、開発 |
Saudi Aramco | Korea Electric Power Corporation | ブルーアンモニア、ブルー水素への投資、生産、輸送、販売のプレFS |
POSCO | 同上の投資 | |
Export-Import Bank of Korea | 同上での60億ドルまでの与信を含む基本契約 | |
Saudi Aramco | S-Oil | R&D、ブルー水素、技術開発などでの一連の契約 |
Saudi Arabian Industrial Investments Company (Dussur) & Saudi Aramco | 斗山重工業 | Ras Al-Khairでの鉄の鋳造、鍛造工場建設 |
Al-Sahm Al-Usud | Kumho Tire | タイヤ生産工場建設の技術提携契約(年産15百万本、2023年3Q生産開始予定) |
サウジ当局 | 韓国知財当局 | 専門家派遣を含む相互協力パートナー契約 |
Ministry of National Guard | EzCaretech (電子健康記録提供) |
AIベース自動診断システム( Dr. Answer)を病院に設置する技術協力契約のletter of intent |
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